僕たち大学生のグループは、夏休みの旅行を楽しみにしていた。田舎の山間にある湖の近くにある貸別荘を借りて、数日間のんびりと過ごす計画だった。自然に囲まれ、都会の喧騒を忘れて過ごせる場所。夜にはバーベキューをして、星空を眺めながら過ごす——そんな予定だった。
ところが、その旅行で、僕たちは信じられない出来事に巻き込まれることになる。
初日の午後、僕たちは湖近くの古びた村を散策していた。人口も少なく、観光客もほとんどいない。歩いているうちに、ひっそりとした商店街にたどり着いた。そこは時代に取り残されたような場所で、建物も店もどれも古びていた。僕たちは特に何を買うわけでもなく、ただ好奇心からその商店街を歩いていた。
ふと、路地の奥に一台のガチャガチャを見つけた。古びていて、表面はほこりにまみれ、何が出てくるのかも分からない。ガラスの部分も曇っていて、景品の絵すら確認できなかった。
「これ、やってみる?」
友人のリョウが笑いながら提案した。
僕たちは、冗談半分でコインを入れ、ガチャガチャを回した。ガチャガチャは鈍い音を立てて動き、コロリとカプセルが出てきた。リョウがそのカプセルを開けると、中には小さな骸骨の人形が入っていた。見た目は古ぼけていて、灰色の骨がリアルに再現されていた。小さいのに不気味さが漂っている。
「何だよこれ…気持ち悪いな。」
僕は思わず顔をしかめた。
しかし、リョウは妙にそれを気に入った様子で、「これはこれで面白いじゃん」と言いながら、その骸骨人形をポケットにしまった。僕たちは軽く笑い飛ばし、そのまま宿に戻った。
その夜、バーベキューを終えて湖畔で酒を飲んでいる時、リョウの様子が少しおかしかった。普段は冗談ばかり言っている明るい性格の彼が、何かに怯えたような表情で、遠くを見つめている。
「おい、リョウ、どうした?」
誰かが声をかけたが、彼はぼんやりと湖の方を見ていた。
「…なんか、ずっと誰かがこっち見てる気がするんだよ。」
「誰もいないじゃん。酔ってんだろ?」
僕たちは笑って流そうとしたが、リョウは明らかに怯えていた。
その翌日から、リョウはさらに奇妙な行動を取るようになった。誰もいない場所に向かって話しかけたり、突然立ち止まって何かを探すような仕草を見せたり。僕たちは冗談で「お前、あの骸骨人形の呪いじゃないか?」なんて言っていたが、次第に冗談では済まされない状況になっていった。
三日目の夜、リョウが突然いなくなった。僕たちは宿の中を探し回ったが、どこにもいない。外に出ると、彼が持っていた骸骨人形だけが玄関先に落ちていた。
「おい、マジかよ…」
僕たちは一気に不安に包まれた。どうしてもリョウが見つからず、仕方なく夜明けまで探し続けた。
翌朝、リョウはふらりと宿に戻ってきた。彼の表情はまるで魂が抜けたかのようにぼんやりとしていて、どこに行っていたのかを聞いても何も答えなかった。ただ、「よくわからない…何かに呼ばれていたような気がする」とだけ呟いた。
そして、その日、僕たちは湖の近くで再び集まって話し合った。もうこの骸骨人形は捨てるべきだという意見が全員一致だった。リョウもそれに同意していたが、何か未練があるような表情を浮かべていた。
「これ、焼いたほうがいいんじゃないか?」
誰かが言い出し、僕たちは花火を使ってその骸骨人形を焼くことにした。
花火に火をつけ、次々と人形に近づけると、信じられないことが起こった。骸骨人形が突然、弱々しくもがき始めたのだ。まるで命を持っているかのように、苦しそうに体をよじりながら小さな悲鳴を上げている。
「ギィ…ギィ…」
「おい、ヤバい、逃げようとしてるぞ!逃がすな!」
誰かが叫んだ。
僕たちは全員が恐怖に駆られながらも、必死に花火を押し当て、骸骨人形を焼き続けた。もがきながら逃げようとする人形を囲むようにして、僕たちはそれを完全に燃え尽きさせた。
やがて、骸骨の姿は崩れ、灰になった。もがいていた動きも止まり、まるで本当に「死んだ」ようだった。
それからというもの、リョウは奇妙な行動を一切取らなくなった。まるで呪いが解けたかのように。
あの骸骨人形が何だったのか、今でも誰も分からない。
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