怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

骸骨人形の呪い 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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大学生になって初めての夏、僕は友人たちと一緒にリゾートバイトをすることにした。海辺のリゾート地で泊まり込みのバイトは、休みの日に海を楽しんだり、夜にはバーベキューをしたりと、最高の夏休みの思い出になるはずだった。

バイトが休みの日、僕と友人のユウスケは街を散策していた。観光地だからか、道沿いにはたくさんの土産物屋やゲームセンターが並んでいて、その一角に古びたガチャガチャを見つけた。

「こんな古臭いガチャガチャ、まだ動くのかよ?」
ユウスケが笑いながら言った。ガチャガチャは錆びついていて、見るからに年季が入っていた。僕たちは興味本位で1回回してみることにした。カラカラと音を立ててカプセルが出てきた。

中身を開けると、そこには小さな骸骨の人形が入っていた。手足が不自然に曲がり、骨の部分は灰色がかった色で、何とも言えない不気味さが漂っていた。

「うわ、これ気味悪いな…」
僕はその骸骨を見てぞっとしたが、ユウスケは妙にそれを気に入ったようだった。

「面白いじゃん。俺、これ持って帰るわ。」
そう言って、ユウスケはその骸骨人形をポケットにしまった。僕はあまり良い気はしなかったが、特に深く考えずそのまま散策を続けた。

ところが、骸骨人形を手に入れてからというもの、ユウスケの様子が時々おかしくなり始めた。バイト中も、突然意味不明なことをつぶやいたり、ぼんやりと遠くを見つめていたり。普段は明るく冗談ばかり言っているユウスケが、時々無表情で黙り込むことが増えてきた。

「おい、ユウスケ、大丈夫か?」
「え?何のこと?」

問いかけても、彼は自分が変なことをしている自覚がないようだった。それがさらに不気味だった。

ある日のバイト終わり、僕たちは海辺で花火をすることになった。みんなで楽しく盛り上がり、夜の浜辺で花火を楽しんでいた時、ユウスケがまた奇妙な行動を始めた。彼はぼんやりと骸骨人形を手に持ち、海の方をじっと見つめている。目は虚ろで、まるで誰かと話しているような仕草をしていた。

「おい、またそれかよ…」

僕たちは流石に気味が悪くなり、ユウスケの持っている骸骨人形が原因ではないかと疑い始めた。誰かが冗談半分に言い出した。

「こんな気味悪い人形、さっさと焼いちまおうぜ。花火で。」

他のみんなもそれに賛同し、ユウスケが持っている骸骨人形を取り上げた。ユウスケは必死に止めようとしたが、僕たちは「もうお前のためだ」と言って、花火の火で骸骨人形を焼くことにした。

ライターで火をつけ、僕たちは手にしていた花火に火を移した。複数の花火が一斉に燃え上がり、その火を骸骨の人形に近づけた。すると、信じられないことが起こった。

骸骨の人形はまるで生き物のように、火が当たった瞬間に体をよじり、苦しみもだえ始めたのだ。
「ギィ…ギィ…」
弱々しい悲鳴のような音が、骸骨の口から漏れた。最初はただの人形だと思っていた僕たちは、その異常な動きに驚き、顔を見合わせた。

「何だよこれ…!」
ユウスケが青ざめた声で叫ぶ。

だが、さらに驚くべきことに、その骸骨人形は火から逃げようとして地面を這い始めた。まるで本当に生き物のように、焼かれることを恐れて逃げ出そうとしている。

「おい、こいつ、逃げようとしてる!」
誰かがそう言うと、パニックになりかけた空気が一瞬にして緊張に変わった。僕たちは全員、恐怖に駆られながらも、その骸骨を捕まえなければならないという本能に突き動かされた。

「ヤバい、逃がすな!」
一人が叫ぶ。僕たちは再び花火を近づけ、逃げようとする骸骨人形を囲んだ。人形は弱々しくも必死に地面を這いながら逃げようとしていたが、僕たちはそれを押さえつけるように、次々と花火の火を当てた。

火花が骸骨人形に降り注ぎ、ますます激しく体をよじらせる。まるで命が宿っているかのように、骸骨は必死にもがいていたが、次第にその動きは鈍くなり、悲鳴も弱々しくなっていった。

「ギィ…ギィ…」
そのかすかな声が途切れ、やがて骸骨の動きも完全に止まった。僕たちはその場に立ち尽くし、何が起こったのかを理解できないまま、ただ人形が燃え尽きる様子を見守るしかなかった。

やがて、骸骨の形は崩れ、最後には完全に燃え尽き、ただの灰となって消えた。

「…これ、本物だったのか?」

誰かが呟いたが、もう手遅れだった。骸骨人形は苦しみ、逃げようともがいていたが、僕たちはそれを逃がすことなく、完全に消し去ってしまったのだ。

それからというもの、ユウスケの奇妙な行動はぱったりと止まった。まるで何事もなかったかのように、彼は元の明るい性格に戻り、意味不明なつぶやきや不気味な仕草もなくなった。
まるであの骸骨人形が何かの力を持っていたかのように。それが呪いだったのか、何だったのかは今でもわからない。
ただ、それを燃やしてからは、何もかもが元に戻ったように感じた。
あの瞬間が本当に現実だったのかどうか、今でも信じられない気持ちでいる。



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