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祖母の家の人形部屋:睨まれた記憶 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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これは私が小学生の頃に体験した、忘れられない怖い話です。

当時、私はよく祖母の家に遊びに行っていました。祖母は優しくて、お菓子を作ってくれたり、一緒に遊んでくれたりして、本当に楽しい時間を過ごしていました。祖母の家は古くて広くて、ちょっとした冒険のような感覚で過ごしていたのを覚えています。

ただ、ひとつだけ、怖い場所がありました。

祖母には、日本人形を集める趣味があって、リビングにも1〜2体ほどの人形が飾られていました。その頃の私は、日本人形の美しさに惹かれ、リビングにいる人形たちを見ても特に怖いとは感じませんでした。むしろ可愛らしいとさえ思っていたのです。

でも、祖母の家には、どうしても近寄りたくない一室がありました。

その部屋には、祖母が集めた日本人形がずらっと並べられていたのです。初めてその部屋を見た時、私は驚いて言葉を失いました。部屋中に所狭しと飾られた日本人形。壁際の棚にも、床にも、机の上にも、いたるところに日本人形がびっしりと置かれていたのです。個々の人形は、どれも繊細で美しく、まるで生きているような表情をしていましたが、それが何十体も一度にこちらを見つめている光景は、不気味さでいっぱいでした。

その日以来、私はその部屋を避けるようになりました。遊びに行っても、絶対にその部屋には入らない。ドアの前を通るたびに足を速め、目をそらすようにしていました。祖母もその部屋について特に触れることはなく、私もわざわざ聞くことはありませんでした。

そんなある日、私はどうしてもその部屋が気になってしまったのです。しばらく見ていなかったため、まだ人形たちがそこにたくさん並んでいるのか、無性に確認したくなったのを覚えています。友達に話すと、「ちょっと気味悪いけど、そんなに怖くないんじゃない?」と言われ、それで少し勇気が湧いたのかもしれません。

その日は一人で祖母の家に遊びに行っていて、祖母は台所で何かをしていました。私はふと、人形の部屋のドアの前に立っていました。何度も行き来してきたドアの前で、数秒間立ち止まり、心の準備をしました。

そして、意を決してドアをそっと開けました。

やはり、ずらっと人形が並んでいました。何も変わっていない。いや、むしろ、もっと増えているように感じたくらいです。棚や床、至るところに何十体もの日本人形が私を見つめていました。その光景に、思わず私は「気持ち悪っ…」と呟いてしまいました。

その瞬間、ゾワッと背筋が凍りつく感覚に襲われました。

人形たちが一斉にこちらをグッと睨んだ気がしたのです。

もちろん、現実には動いていない。ただの人形のはずです。けれど、あの瞬間、私は確かに人形たち全員に睨まれたように感じました。息が止まりそうになり、全身が凍りつくような感覚に陥りました。恐怖でその場を動けず、ただ立ち尽くすしかありませんでした。

「…見ている。みんな、こっちを見ている…」

ようやく我に返った私は、慌ててドアを閉め、駆け足でその場を離れました。心臓がバクバクと鳴っていて、祖母に何かを言おうと台所に向かいましたが、声が出ませんでした。

その日以来、私はその部屋には絶対に近づかなくなりました。どんなに気になっても、もう一度あのドアを開ける勇気はありませんでした。

今思えば、ただの子供の気のせいだったのかもしれません。でも、あの日のことを思い出すと、今でも背筋が寒くなります。あの日本人形たちが、本当にこちらを睨んだのか、それとも私の錯覚だったのか。

真相はわかりませんが、あの部屋のことは今でも鮮明に覚えています。私にとって、あれは決して忘れることのできない恐怖の記憶です。



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