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奇妙な集落に関する調査報告書 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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田中雄介は、いつも通り書類整理に没頭していた。埃にまみれた段ボール箱を整理していると、一つの封筒が目に留まった。封筒は古びていて、ところどころ黄ばんでいた。封を開けると、昭和初期に書かれた調査報告書のようだった。表紙には「○○集落調査報告書」と書かれており、どうやらある古い集落に関する調査を記録したものらしい。

雄介はその封筒の中から数枚の紙を取り出し、内容を確認することにした。報告書には、調査員がその集落を訪れた際に体験した出来事が詳細に記録されていた。読んでいくうちに、その集落がただの場所ではないことが次第に明らかになっていった。

集落の調査報告書

日付:昭和12年6月17日
調査員:Y.T

調査概要

私は、○○県の山奥に位置する小さな集落の調査を命じられた。この集落は、近隣の村々から孤立しており、住民たちも外部との交流をほとんど持っていないと聞いている。依頼の背景には、集落で最近になって奇妙な出来事が続発しているという報告があり、その原因を調べることが目的だった。

調査のために現地を訪れたが、集落に足を踏み入れた瞬間から、何か異様な空気を感じた。静けさが漂う中、住民たちの様子もどこかおかしかった。私が到着すると、彼らはじっと私を見つめ、すぐに家の中へ引っ込んでしまった。住民たちは何かにおびえているようであり、話しかけても返事をすることはほとんどなかった。

集落の異常な静けさ

調査を始めてすぐに気付いたのは、この集落の異様な静けさだった。風の音すら聞こえず、まるで時間が止まったかのように感じた。集落の中を歩き回っても、人影はまばらで、住民たちは私を避けるようにしていた。数少ない会話を交わした住民は、「ここでは夜になると外に出るな」とだけ呟き、何も教えてくれなかった。

集落の中央にある小さな神社にも行ってみたが、そこも荒れ果てており、長い間手入れがされていない様子だった。神社の周囲には何かを封じ込めるかのように、木の札や縄が掛けられていたが、その意味は分からなかった。ただ、この集落には何か見えない恐ろしい存在があるのではないかという疑念が、徐々に膨らんでいった。

夜の恐怖

その夜、私は集落の一軒家で泊まることになった。昼間に会話を交わした住民の一人が、私に寝床を提供してくれたのだ。だが、彼らは何度も「夜は絶対に外に出るな」と強く警告してきた。私はそれを一笑に付したが、彼らの真剣な表情に、少しの不安を感じていた。

夜になると、集落はさらに異様な静寂に包まれた。村の灯りも次々と消え、どの家からも人の気配が消えたかのようだった。私は床についたが、眠れずにいた。午前0時を過ぎた頃、突然、家の外から何か重いものが引きずられるような音が聞こえてきた。

その音は、家の周りをゆっくりと移動しているようだった。私は恐怖で体が動かなくなり、外に出て確認することはできなかった。窓の外を覗こうとも思ったが、なぜか窓に近づくことすらできなかった。その音はしばらく続いた後、集落の奥へと消えていったが、私は再び眠ることができなかった。

住民の恐怖

翌朝、私は住民たちに昨夜のことを尋ねたが、彼らは何も答えなかった。むしろ私を避けるように、ますます遠ざかっていった。唯一、口を開いた老人が一人いたが、彼もただ「あなたも早くここを去った方がいい」と言っただけだった。

この集落の住民たちは、何か見えない存在に怯えて暮らしている。それが何なのか、誰も語ろうとしない。しかし、私は昨夜の出来事が単なる錯覚ではないことを確信していた。あの音は確かに何かが外を歩き回っていたのだ。

集落の近くの森には入るなと言われていたが、私はあえて足を踏み入れてみた。すると、森の奥に人間が入った形跡のない、まるで手つかずの場所が広がっていた。その場所は、周囲とは明らかに異なる雰囲気を持っており、何か古い石碑のようなものが建てられていたが、文字はすでに風化して読めなかった。

結論

私はこれ以上この集落に留まるべきではないと判断し、調査を打ち切ることにした。住民たちが何に怯えているのか、正確には分からなかったが、私もまた、あの音を聞いてからは恐怖に囚われていた。

帰り道、振り返って集落を見下ろすと、その静寂の中で、今もなお何かが人々を見つめているような感覚に襲われた。結局、私はその正体を突き止めることができなかったが、この集落には明らかに「何か」がいる。

この集落にはもう来ないほうが良いだろう。

読み終えた後の静寂

田中雄介は、調査報告書を閉じ、深く息をついた。報告書に書かれていた内容は、単なる迷信や村の古い風習といったものではなく、調査員自身が体験した異様な出来事を記録していたものだった。

「何かがいる…」

雄介はその言葉が頭の中に残り、しばらくの間動けなかった。この報告書に書かれていた集落が今も存在しているのか、そしてそこに住む人々が今も同じ恐怖に囚われているのかは分からない。しかし、報告書から伝わる恐怖は、どこか現実味を帯びていた。

雄介は報告書を該当のカテゴリのところへ入れ、次の書類に手を伸ばした。



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