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警備員が語るゾッとする体験:誰もいないはずのエレベーターが止まった瞬間 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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夜勤の警備員として働く俺は、夜中にビルを巡回することが多い。このビルは昼間は忙しく、人の出入りが多いけど、深夜になるとシーンと静まり返る。そんな時、一番気味が悪いのが、エレベーターだ。

その日はいつもと同じように、深夜2時頃に巡回をしていた。エレベーターを使って各フロアを確認するのがルーチンだ。ビルの13階で最後の確認を終えて、エレベーターに乗り込み、1階に戻るためにボタンを押した。

エレベーターは静かに降り始め、いつものように何の異常もない……と思っていた。

だけど、突然エレベーターが6階で「ピンッ」と音を立てて止まった。ドアがゆっくりと開いたが、外には誰もいない。ビルは完全に無人のはずだ。俺はカメラを確認するためにポケットから無線機を取り出し、管理室に連絡した。

「6階に誰かいるか?」と聞いたが、返ってきた答えは「誰もいない。6階は施錠済みだ」とのこと。

ドアが開いたまま、エレベーターはじっとしている。俺は一瞬、6階の廊下を覗き込んだが、やはり真っ暗で静まり返っている。冷たい空気が妙に肌にまとわりつく感覚があった。何か、見られているような気がして、背筋がぞくりとした。

その時、エレベーターが何も操作していないのに突然、閉まりかけたドアを再び開けた。

「なんだこれ…?」と思いながら、ドアがもう一度閉まるのを待っていると、エレベーター内の照明が一瞬、チカチカと点滅した。心臓が一瞬跳ね上がった。次の瞬間、エレベーターが急に動き始めたと思ったら、4階でまた同じように止まった。

ドアが開き、無人の廊下が見える。だが、今度は妙な音が聞こえた。遠くから、何かを引きずるような、低い、湿った音がエレベーターの外から聞こえてくる。

俺は慌てて閉じるボタンを何度も押し続けた。だが、ドアはなかなか閉まらない。その間も音がゆっくりと近づいてくる気がした。ようやくドアが閉まり、エレベーターが再び動き出した時、俺は無意識に息を止めていた。

1階に着くと、俺は慌ててエレベーターを降りた。そして、ビルの出口に向かって足早に歩いた。背後から何かがついてくるような気配を感じながらも、決して振り返らなかった。

その夜以来、俺はエレベーターに乗るのがどうしても怖くなった。何か、あの6階と4階には "見えない何か" がいるのかもしれない。

ビルの管理者に聞いても、その階では特に何も問題が起こっていないと言う。でも、あの夜の体験が現実だったのか、それともただの幻覚だったのか、今でもわからないままだ。

だけど、確かに感じたんだ。あの空気の冷たさと、背後から聞こえるあの奇妙な音を。もし次の巡回で、またエレベーターが「勝手に」止まったら、俺はきっとそのビルを辞めるだろう。



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