山間のキャンプ場での写真
Gさんは、友人たちと一緒に山間の川沿いにあるキャンプ場へ向かうことにしました。そのキャンプ場は山奥にあり、あまり知られていない秘境のような場所で、インターネットで偶然見つけたものでした。アクセスは決して良くなく、細い山道を車で進んで行かないとたどり着けないような、ひっそりとした場所です。
当日は、天気に恵まれ、山の緑が目に染みるように美しく輝いていました。川のせせらぎが聞こえる静かなキャンプ場に到着したGさんたちは、さっそくテントを張り、キャンプの準備を進めました。辺りには他のキャンパーの姿はほとんどなく、広々とした空間を独占できる状況でした。
川沿いには大きな岩がゴツゴツと並び、川の水は澄んでおり、浅瀬には小魚が泳いでいるのが見えました。背後には山々がそびえ、どこか神秘的な雰囲気が漂っています。涼しい風が木々の間を通り抜け、心地よい自然の空気が体を包み込みます。時折、鳥のさえずりが聞こえ、日常の喧騒とはかけ離れたこの場所で、Gさんたちはすっかりリラックスしていました。
一通りの準備が終わり、時間に余裕ができたGさんは、仲間たちとともに近くの山道を散策することにしました。キャンプ場から続く山道は整備されておらず、自然そのものを感じる道でした。両脇には生い茂った雑草やシダ植物が広がり、足元には小さな石や枝が散らばっていました。木漏れ日が山道を照らし、虫の鳴き声が辺りに響いています。しばらく歩くと、空気がひんやりと感じられ、山の中に深く入り込んでいることを実感しました。
山道をさらに進むと、遠くから水の音が聞こえてきました。音は徐々に大きくなり、やがて視界に美しい滝が現れました。その滝は高さがあり、落差のある水が勢いよく岩肌を滑り落ちていく様子は壮観でした。滝壺は透明な水で満たされており、まるで鏡のように周囲の景色を映し出していました。水の飛沫が顔に当たると、ひんやりとしてとても気持ちが良く、Gさんたちはその場でしばらく滝を眺めていました。
「すごく綺麗な滝だな」と誰かが呟きました。Gさんもその神秘的な景色に感動し、思わずスマートフォンを取り出して写真を撮ることにしました。滝全体を収めようと、少し後ろに下がり、滝壺が映るように構図を決めてシャッターを切りました。水が滑らかに流れ落ちる様子と、滝壺に広がる静寂な水面がとても美しく、Gさんはその写真に満足していました。
その後、彼らはキャンプ場に戻り、焚き火を囲みながら夕食を楽しみました。夜になると、山間の空は満天の星で輝き、都会では見ることのできない壮大な星空が広がりました。Gさんたちは自然の中で心地よい夜を過ごし、翌日、無事にキャンプを終えて帰宅しました。
後日、写真を見返す
それから数日後、Gさんは自宅でキャンプの写真を見返していました。自然の風景や仲間との思い出を振り返りながら、楽しかった時間を思い出していました。スマートフォンの画面をスクロールしていくと、あの滝で撮影した写真が目に入りました。
「そうだ、あの滝、綺麗だったな」と思いながら写真を拡大して見ていたその時です。
Gさんの視線は、滝壺に向かいました。そして、その瞬間、心臓が止まるような感覚に襲われました。
滝壺の水面に、何かが写り込んでいたのです。
その「何か」は、一つの「顔」でした。
滝壺の水面には、Gさんが撮影した仲間や自然の風景に混じって、明らかにこちらを見つめる顔が浮かび上がっていました。その顔は無表情で、ぼんやりとした輪郭ながらも、目はしっかりとこちらを見据えているようでした。しかも、その顔が映っている場所は、滝壺の深い部分で、人が立ち入ることは不可能な場所です。
「何これ…」
Gさんは冷や汗をかきながら、他の写真も確認しました。しかし、顔が映っていたのはその一枚だけでした。まるであの瞬間、滝壺の中に何かが潜んでいたかのような不気味さを感じました。手が震え、画面を閉じることさえもためらうほどの恐怖に襲われ、Gさんはその写真を直視できなくなりました。
その後、Gさんはその写真をどうすることもできず、ただスマートフォンの中に残したまま、二度と見ることはありませんでした。
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