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夜中に隣の部屋から聞こえる不思議な音…主人公が勝手に想像する奇妙な結末とは? 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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隣の部屋の音

Hさんは、都心から少し離れた静かなアパートに引っ越してきました。このアパートは、築年数はそこそこ古いものの、周囲は落ち着いており、家賃も手頃で気に入っていました。静かでゆったりとした時間を過ごせる場所を探していたHさんにとって、このアパートは理想的でした。

初めての夜、Hさんは新しい部屋で過ごすことに少し緊張しながらも、引っ越し作業を終えた達成感に包まれ、静かに眠りにつきました。

しかし、次の日の夜、ベッドに入ってしばらくすると、隣の部屋から何やら「コツコツ…」という音が聞こえてきました。うるさいわけではありませんが、一定のリズムで繰り返されるその音が気になり始めました。床に何かを落とすような音とも違い、軽いけれども繰り返し鳴る不思議な音でした。

「何の音だろう?」

最初は気にしないようにしていましたが、毎晩同じ時間帯にその音が聞こえてくるようになり、次第にHさんはその音に注意を向けるようになりました。音がうるさいわけではないので、クレームを言うほどではありません。しかし、音の正体が気になり始めたHさんは、あれこれと勝手に想像を巡らせるようになりました。

一体、何の音?

「もしかして、隣の人は夜に仕事をしているんだろうか?」

Hさんは、隣の部屋に住む人と何度かすれ違ったことがありました。その人は30代くらいの落ち着いた雰囲気の男性で、挨拶を交わすときも常に礼儀正しく、全く怪しいところはありませんでした。しかし、夜中に聞こえる「コツコツ…」という音が、何か作業をしているようなものにも思えたのです。

「深夜に何かの作業をしているのか? それとも、机で手作業をしているのか?」

Hさんは、隣人が何らかの趣味に没頭しているのではないかと考え始めました。例えば、時計を修理しているとか、模型を組み立てているとか、あるいは何かのクラフトワークを夜中にしているのではないか――そう思うと、その音がどこか情熱的な趣味の一環のように感じられました。

しかし、よくよく考えてみると、その音はただの作業音にしては少し不規則です。時には音が間隔を置いて続き、時には急に止まることもあるのです。そんな風に音のリズムが変わるたびに、Hさんの想像はさらに膨らんでいきます。

他の可能性?

「もしかして、楽器の練習をしているのかな?」

Hさんは次にそう考えました。音の感じからすると、何か小さな楽器――例えば打楽器や木琴のようなものを夜中に練習しているのではないかと思い始めました。隣人は夜型の生活をしていて、静かに楽器を叩いてリズムを練習しているのかもしれない。

「でも、こんなに長時間、毎晩同じ音を出して練習するものだろうか?」

そう思うと、今度は「音が出る何かを組み立てているのでは?」という発想が浮かびました。例えば、何かの装置や機械を分解して修理したり、または組み立てたりしているのかもしれない。彼はエンジニアか何かで、深夜に機械をいじる仕事をしているのか――Hさんの頭の中で、隣人が夜中に静かに部品をコツコツと組み立てている光景が浮かびます。

もっと不思議な可能性?

それでも、音が時折止まったり、急に音のリズムが変わるたびに、Hさんはどこか不気味な感覚を覚え始めました。あまりに規則的ではないその音が、だんだんと「自然なものではないのではないか」という気持ちを呼び起こしたのです。

「まさか、幽霊とかじゃないよな…?」

Hさんは笑いながらも、どこか現実的ではない考えが頭をよぎりました。このアパートは古く、しかも他の住人は少ないため、夜中になると一層静寂に包まれます。そんな中、コツコツという音だけが響いていることに気づくと、何か見えない存在が部屋の中で歩き回っているかのように感じられました。

「幽霊が廊下を歩く音?それとも、何かが叩かれている音…?」

Hさんはそう思いながらも、「さすがにそれはないだろう」と自分を納得させました。隣の住人は礼儀正しい人だし、まさかそんな超常現象のようなことが起きるわけがないと思う反面、頭の片隅には不安が残りました。

想像が膨らむ

結局、Hさんは隣の住人にその音のことを尋ねることはありませんでした。挨拶をするたびに、隣人がごく普通の人であることを感じ取るからです。彼が「夜中に変な音がしますが、何をしているんですか?」と尋ねるのは失礼かもしれないし、あまりに大げさな気がして聞けませんでした。

しかし、それでも夜になると、やはりあの「コツコツ…」という音が聞こえてきます。Hさんはその音を耳にするたびに、「何かの作業」「楽器の練習」「機械の修理」「幽霊」など、次々にさまざまな想像が浮かんできてしまうのです。音が小さいからこそ、逆に気になってしまう――そんな不思議な夜が続いていました。

結局、隣人が何をしているのかは謎のままですが、Hさんはその奇妙な音をどこか楽しむようになっていました。

「一体、何をしてるんだろうな…」

そう思いながら、Hさんは今日もまた静かな夜に耳を澄ませるのでした。



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