怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

怪しいバイトで手に入れたキーホルダーが夜中に笑いだす 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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私は大学の授業が少ない時期に、少しでもお金を稼ごうと、求人サイトを眺めていた。そこで見つけたのが、ある短期間のバイトだった。作業内容は「商品の袋詰め」、しかも時給が非常に良い。ただ、気になったのはその会社名だ。社名は明らかに怪しく、一目で「普通じゃない」と感じさせるような名前だった。

「怪しい会社名だな…」

そう思いつつも、仕事内容は単純で楽そうだったし、短期間でまとまったお金を稼げるという誘惑には逆らえなかった。結局、私はそのバイトに応募することにした。

バイト当日、指定された場所に向かうと、古びたビルの一室にその会社はあった。中に入ると、意外にも明るく親切なスタッフたちが笑顔で出迎えてくれた。私の不安は少し和らぎ、「案外まともな会社かもしれない」と思った。

作業も聞いた通り簡単で、ただひたすら商品を袋に詰めるだけ。流れ作業で、一人一人に割り当てられた仕事を淡々とこなしていく。ただ、問題はその商品の内容だった。

最初に目に入ったのは、トカゲの干物。小さなトカゲが乾燥され、無造作に並べられていた。次に、見たこともないような巨大なイモムシの死骸が箱詰めされており、その不気味さに思わず背筋が寒くなった。袋に詰めるたびに、何とも言えない違和感が募っていった。

「これ、本当に売ってるのか…?」

さらに驚いたのは、本物のようにリアルな躯(むくろ)。もちろん人間のものではなかったが、何の生物かはわからず、それでも異様なリアリティを持ったその物体を袋詰めする手が震えた。

他にも、呪われた掛け軸のレプリカらしき気持ち悪い絵が描かれた小さな掛け軸や、見るだけで不安になるような怪しい小さな絵画のレプリカなど、どう見ても普通の雑貨ではない商品ばかりだった。

ただ、驚いたのは従業員たちの明るさだった。周囲のスタッフは皆、私のように初日から不安を抱えるバイトに対しても、親切に作業を教えてくれるし、気軽に声をかけてくれた。彼らのフレンドリーな態度には救われる部分もあったが、同時にそのギャップがより一層不気味だった。

「どうしてこんな怪しいものを扱っている会社の人たちが、こんなに楽しそうに仕事をしているんだろう…?」

疑問が頭に浮かんだが、私には深く詮索する気力はなかった。作業は単純だし、期間も短い。黙々と商品を袋に詰め続け、バイトが終わる日を待つだけだった。

バイトの最終日、作業がすべて終わった後、責任者の女性が笑顔で私にお礼を言ってくれた。

「短期間だったけど、よく頑張ってくれたわ。ありがとう!」

そう言うと、彼女は私に奇妙なキーホルダーを手渡してきた。手のひらサイズの人形がぶら下がったキーホルダーで、人形は何とも言えない不気味な笑顔を浮かべていた。

「記念にこれ、持って帰って。大丈夫、変なものじゃないから!」

彼女の明るい声とは裏腹に、そのキーホルダーは妙に不安を感じさせるものだった。とはいえ、断るのも気まずかったので、私はそのキーホルダーを受け取り、バイトを終えて家に帰った。

家に帰り、キーホルダーを机の上に置いて眠りについた。しかし、その夜、奇妙なことが起こった。

深夜、寝ていると、突然何かの音で目が覚めた。最初は気のせいかと思ったが、確かに小さな笑い声が聞こえたのだ。私は身を起こし、音の方を見た。笑い声は、机の上から聞こえていた。

そこには、あのキーホルダーがあった。人形が微かに揺れており、まるで笑っているかのような音が、静かな部屋に響いていた。

「…これはまずい!」

私は恐怖に駆られ、そのキーホルダーをすぐに掴むと、急いで家を出て近くのゴミ捨て場に向かった。深夜にもかかわらず、私はそのキーホルダーをゴミ箱に叩き込むように捨て、急いで家に戻った。

翌朝、目が覚めると、昨夜の出来事が夢のように感じた。だが、キーホルダーがもう手元にないことで、それが現実だったと確信した。

その後、バイト代はきちんと振り込まれていた。時給も良かったし、金銭的には満足のいく結果だったが、どうしてもあの会社が普通の企業とは思えない。

結局、あの会社は何だったのか。あの商品の数々や、笑うキーホルダーは一体何を意味していたのか。今となっては、その答えはわからない。



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