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透明な恐怖…リアルな夢でインターホンに現れるうっすらと見える影 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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診察室にはいつも通りの穏やかな空気が漂っていた。しかし、今日の患者は少し緊張しているように見えた。決まった診察の質問を終えた後、彼女はため息をついて、少し戸惑いながら話を始めた。

「先生、最近変な夢を見るんです……妙にリアルで、それが怖くて。」

私は彼女の様子を見て、優しく促した。

「どんな夢なんですか?詳しく教えてください。」

彼女は少し考え込んでから、話し始めた。

「夢の中で、私は自分の家のリビングにいるんです。本当にリラックスしていて、現実と区別がつかないくらいリアルなんです。いつものようにソファに座って、本を読んだり、テレビを見たりして……すごく平和で、心の底から落ち着いているんです。」

彼女の声には、夢の中で感じた安らぎが表れていた。私はそのリラックス感がどう変わっていくのか気になり、さらに聞いてみた。

「そのリラックスした時間の中で、何か変化があったんですか?」

「そうなんです……突然、インターホンが鳴ったんです。普通のことなので、特に驚くこともなく、いつものようにモニターを見たんですが……誰もいなかったんです。」

彼女はその瞬間を思い出しながら、少し不安そうな顔をした。

「誰もいなかったんですね。その時、どんな気持ちが湧いてきましたか?」

「最初は、『誰か間違えて押したのかな?』って思って、特に気にしていませんでした。でも、その後もまたインターホンが鳴るんです。何度か続けて鳴らされて、モニターを見るたびに誰もいない……それがどんどん不気味に感じ始めました。」

彼女は声を少し震わせながら、さらに話を続けた。

「それで、何度目かにインターホンが鳴った時、モニターをじっと見ていると……うっすらと人影が見えたんです。最初は気のせいかと思ったんですけど、よく見ると、透明な人影がモニターの画面に映っていて……景色が透けて見えるくらい薄いんですが、確かに誰かがそこに立っているんです。」

彼女の言葉には、恐怖が強くこもっていた。私はその人影がどのように感じられたのか、さらに聞いてみた。

「その人影を見た時、何を感じましたか?その影はどんな様子だったんですか?」

「恐ろしい表情をしていました。顔はぼんやりしているんですが、いまにも襲ってきそうな恐ろしい顔というか、睨んでいるような表情で……だけど、何も声が聞こえないんです。透明で、姿もはっきりしていないのに、その顔だけはすごく強烈で……それを見た瞬間、背筋が凍りました。」

彼女の声が震えていた。その夢がどれほどリアルで、どれほど恐怖を感じさせたのかが伝わってきた。私は彼女にその後の展開を聞いた。

「その人影を見た後、何か他に変化はありましたか?」

「しばらくモニターを見つめていたんですが、その人影は動かないんです。ただじっと私を睨んでいて……どれだけ長く見ても、その恐ろしい表情が消えなくて。目をそらしたくても、なぜか画面から目が離せなくて……そして、急に目が覚めたんです。」

彼女はその時の緊張が再び蘇ったかのように、深く息をついた。

「夢から覚めた時は、体がカチカチに緊張していて、全身が冷や汗でびっしょりでした。現実に戻ったのに、まだインターホンが鳴りそうな気がして、しばらく動けませんでした。」

彼女の話を聞きながら、その夢が彼女に与えた強烈な恐怖を理解し、私はその夢の意味について考え始めた。

「その透明な人影が現れるというのは、もしかすると現実で感じている不安や、何かに追われている感覚を象徴しているのかもしれません。最近、何か心配事やストレスを感じることがありましたか?」

彼女は少し考え込んでから、静かに答えた。

「確かに、最近仕事でトラブルが続いていて……そのせいかもしれませんね。家でリラックスしたいのに、いつも何かが邪魔をしてくる感覚があるんです。それが夢に出てきているのかもしれませんね。」

彼女は夢を通じて、現実で感じている不安と向き合っていることに気づき始めた。

診察室を出る彼女を見送りながら、私はその夢が彼女の内面的な不安や、平和な生活に対する不安定な要素を象徴していると感じた。透明な影――恐怖の顔をしたその存在は、彼女の無意識の中で膨れ上がる不安の象徴だったのかもしれない。彼女がその影から解放され、心からリラックスできる日が来ることを願っていた。



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