怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

飲み会の帰り道に現れた女性 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

投稿日:

その日は、職場の飲み会だった。いつもはあまり遅くならないようにしているのだが、盛り上がりすぎて気づけば終電も過ぎていた。仕方なくタクシーで最寄り駅まで帰り、そこからは歩いて帰ることにした。家までの道は、コンビニに寄っても20分ほど。夜も遅いし、早く帰ろうと思って足早に歩き出した。

駅前のコンビニで水を買い、家に向かう道を進む。普段は車や人通りが多い場所も、深夜になると驚くほど静かだ。街灯は少なく、暗い小道に入ると周囲の景色はほとんど見えなくなり、時折吹く冷たい風が肌を撫でる。

「早く帰ろう…」

私は軽く身震いしながら、アパートに向かって足を進めた。いつも通るこの小道は慣れているはずなのに、なぜかその夜は妙な静けさが漂っていた。遠くに見える街灯の光が頼りなく、まるで自分がどこか異世界に迷い込んだかのような感覚に襲われた。

しばらく歩いていると、前方に人影が見えた。

こんな遅い時間にこの道を歩く人なんて珍しいな、と思いながら近づいていくと、その人影が女性だということがわかった。彼女は、暗い色のワンピースを着ていて、髪が長く、帽子を深くかぶっている。顔は見えないが、その佇まいが妙に静かで、何かが引っかかる。

私たちは、ゆっくりとお互いに近づいていった。すれ違う時、私は軽く会釈をしようと思ったが、ふとした違和感が心に引っかかった。彼女の歩くリズムが、少しおかしいように感じたのだ。

「…何だろう?」

気のせいかもしれない。そう思って通り過ぎようとした瞬間、冷たい空気が私の体にぶつかった。まるで真冬の冷気が突如として私を包み込み、全身にゾクッとする寒気が走った。体が自然に震え、慌てて足を止めた。

すれ違った瞬間に感じたその冷たさが、何か異常なものを感じさせた。私は思わず後ろを振り返った。

「…いない…?」

そこには、もう誰もいなかった。さっきまで確かにいたはずの女性の姿が、跡形もなく消えていたのだ。

心臓が一気に鼓動を早め、全身に冷や汗がにじんだ。小道は暗く、先ほどと同じ静けさが広がっている。誰かが後ろにいた、すれ違った、でも振り返ったらいない――そんなことがあるはずがない。

「おかしい…」

私は慌てて、もう一度辺りを見回した。しかし、その女性の姿はどこにも見当たらなかった。どこかに隠れられるような場所もないし、急いで走って逃げたとも思えない。あの冷気と同時に彼女は消えた。

背中に冷たい汗が流れる感覚がし、私は恐怖に駆られてその場から逃げるように歩き出した。

足早にアパートへ向かい、無我夢中で家までたどり着いた。ドアを開け、靴を脱ぎ捨てるようにして部屋に飛び込む。胸の鼓動が止まらない。鍵をかけて、ようやくほっと一息ついたものの、心の中にはまださっきの出来事が引っかかっていた。

「何だったんだ…?」

まるで夢のような感覚が残り、現実だったのかどうかも曖昧な気がしてくる。だが、あの冷気は確かに感じたし、女性とすれ違ったのも間違いない。だが、振り返った時にはいなかった。

ベッドに腰を下ろし、深呼吸をしながら、しばらくその感覚が消えるのを待った。結局、その夜は眠れず、朝までその女性のことを思い出し続けていた。

あれ以来、私はあの道を通る時、ふとした瞬間にあの女性を思い出す。もう二度と彼女の姿を見ることはなかったが、あの夜に感じた異常な冷気と、振り返った瞬間に彼女が消えた光景は、今でも私の心に強く焼き付いている。

あの女性は、一体何者だったのか。

そして、あの瞬間に何が起こったのか、今でもわからないままだ。



■おすすめ

マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】




ロリポップ!

ムームーサーバー


新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp



ほんとうにあった怖い話「年上の彼女」



ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ]

価格:1078円
(2024/7/23 13:25時点)
感想(1件)



-怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集
-, , ,

Copyright© 映画・ドラマ・本・怖い話・奇妙な話・不思議な話・短編・ガールズ戦士シリーズ・Girls2(ガールズガールズ)などの紹介・感想ブログです。 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.