ある日、小学5年生の男の子、翔太(しょうた)は、何気ない日常を過ごしていました。宿題を終え、夕飯を食べ、いつも通り家族と一緒にテレビを見た後、眠りにつきました。その日は特に疲れていたため、ぐっすりと眠りについていたのですが、深夜に突然、ふと目が覚めました。
周りは真っ暗で、時計を見ようとしても、体が動きません。体全体が重く、まるで誰かに押さえつけられているかのようです。翔太は驚き、なんとか体を動かそうとしますが、びくとも動かない――そう、金縛りにかかっていたのです。
翔太は恐怖で心臓がバクバクと鳴るのを感じながら、何とか状況を理解しようと周囲を見回そうとしましたが、視線すら動かすことができません。そのとき、耳元でかすかに「うぅ…うぅ…」という、低く、湿った声が聞こえてきました。それは男性なのか女性なのかも分からない、どこか苦しげな声でした。
心臓の鼓動がますます速くなり、翔太は身震いしました。声はますますはっきりと聞こえるようになり、頭の中に直接響くような感覚に襲われます。しかし、どうすることもできず、ただ恐怖に震え続けていると、いつの間にか意識が遠のき、気づけば朝になっていました。
目次
怖い夢だと言われて…
次の日、翔太はその出来事を母親に話しましたが、母親は「あら、怖い夢でも見たんじゃない?」と笑い飛ばしました。友達にも話しましたが、誰も真剣には聞いてくれません。「夢だよ、そんなの!」と、みんな同じように取り合わなかったのです。翔太は自分でも「ただの悪夢だったのかもしれない」と思うようにしました。
しかし、それから数日後、再び同じような状況に陥りました。深夜に目を覚まし、体が動かない。そして、また耳元であのうめき声が聞こえてきます。
「うぅ…うぅ…うぅぅぅ……」
今回は以前よりも、さらに苦しげで激しいうめき声です。声はまるで耳の中に直接響いてくるかのようで、翔太はその恐ろしさに体を硬直させました。金縛りの感覚が強くなり、声もますます激しく、深く響きます。
恐怖に怯える日々を過ごしていた翔太ですが、ちょうどその頃、家族で祖父の家に行くことになりました。古い家に住む祖父は、いつも穏やかで物知りな人でした。
祖父の不思議な言葉
祖父と二人きりになったとき、翔太は勇気を振り絞って、最近起こった出来事を話しました。すると、祖父の顔色が少し変わり、静かに話し始めました。
「実はな、俺も昔、同じような体験をしたことがあるんだ。あの時も、体が動かずにうめき声が聞こえてきた。俺の祖父…つまり、翔太のひいひいじいちゃんだが、その時、俺に助ける方法を教えてくれたんだ。」
翔太は驚いて聞き入りました。「その方法って…?」
祖父は一瞬考えた後、こう言いました。「その時に心の中でひたすら念じるんだ。『ミズクグリ』って言葉をな。」
「ミズクグリ?それって何?」
「昔からの言葉でな、普通は使わないし、あまり知られていない言葉だが、これが特別なんだよ。深く考えずに、とにかく怖い時は『ミズクグリ』を念じ続けろ。そうすれば、うめき声も金縛りも消える。」
翔太は少し不安でしたが、祖父が真剣に話してくれたその言葉を信じることにしました。
最後の体験
それから数日後、また同じ現象が起こりました。深夜に目が覚め、金縛りにかかり、再びあのうめき声が耳元に迫ってきたのです。
「うぅ…うぅぅぅ…」
今度はさらに激しい。耳元で直接叫ばれているかのような強烈な声です。翔太は恐怖で震えながらも、祖父の言葉を思い出し、心の中で必死に「ミズクグリ、ミズクグリ…」と念じ始めました。
何度も、何度も、「ミズクグリ」と心の中で唱え続けました。すると、次第にうめき声が遠のいていき、体の重さも徐々に軽くなっていきました。ついに金縛りが解け、恐ろしい声も完全に消えました。翔太はその後、ぐっすりと眠りにつくことができました。
祖父への感謝
その後、翔太は二度とあのうめき声を聞くことも、金縛りに遭うこともありませんでした。祖父が教えてくれた不思議な言葉「ミズクグリ」が、彼を守ってくれたのだと確信した翔太は、救ってくれた祖父に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
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