あの日、僕はいつものように深夜遅くまで仕事をして、ベッドに倒れ込んだ。疲れが溜まっていたせいか、すぐに眠りに落ちた。しかし、夜中の3時頃、ふと目が覚めた。
何かが重い。体が動かない。金縛りだ。僕は目を開けようとしたが、瞼さえも思うように動かせない。かろうじて視界に入るのは天井と薄暗い部屋の中だけ。心臓が早鐘のように鳴り始め、何か不穏な気配が肌を撫でていくのがわかる。
ふと、視界の隅に「それ」が見えた。壁際に黒い影が立っている。人間の形をしているが、その輪郭はぼやけ、まるで黒い霧のようだった。冷たい汗が額を伝い、視線をそらそうとしたが、その影は動かなかった。
だが、次の瞬間、部屋のもう一方の隅にも異変があった。今度は、白い影がゆっくりと現れたのだ。黒い影とは対照的に、その白い影は光のように淡く輝いていたが、その形もまた人間に似ていた。
黒い影と白い影は、じわじわと僕のベッドに向かって近づいてくる。逃げようにも、体は全く動かない。僕の胸に恐怖が押し寄せ、声を出そうとしても喉は凍りついたかのようだった。
その時、黒い影が僕の顔のすぐ横まで来た。そして、耳元で囁くような声が聞こえた。
「見つけた…」
その瞬間、白い影が黒い影の前に立ちふさがり、二つの影はぶつかり合うように消えた。静寂が戻り、僕は一気に体の自由を取り戻した。息を整えながら、辺りを見回すが、そこにはもう何もいない。
しかし、あの影たちは本当に消えたのか。それとも、ただ僕が再び寝付くのを待っているだけなのかもしれない。
次に目を覚ましたとき、もう彼らの声を聞かないことを祈りながら、僕は再び目を閉じた。
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