喫茶店で、私とリョウはいつも通りアキラの話を聞くために集まっていた。アキラはコーヒーを一口飲み、少し深刻な表情で話を始めた。
「今回の話は、自分でもちょっと気味が悪い体験だった。あれは…理由がわからない。今でも何が目的だったのか謎なんだが、確かに『何か』が俺を訪ねてきた。」
「ある日のこと、俺は外出から戻ってきたんだ。特に何もない、普通の日だった。でも家に帰ると、インターホンの録画履歴のランプが点滅していた。最近のインターホンは、誰かが来たら自動で録画される機能がついてるだろ?それが作動していたんだ。」
リョウが興味深そうに聞いた。「で、誰か来てたのか?」
「ああ、来てた。俺は最初、宅配業者か何かだろうと思って気にも留めずに、その映像を再生してみたんだ。だけど、そこに映っていたのは、普通じゃない『女』だった。」
アキラの言葉に、私とリョウは緊張感を覚えた。
「その女は、無表情だった。顔はまるで仮面のように感情がなく、目は死んでいるような感じで、焦点が合っていなかった。最初は人間だと思ったが、その目を見た瞬間、すぐにこれはこの世のものじゃないとわかった。目が全く生気を持っていなかったんだ。」
アキラはその時の映像を思い出すかのように、少し間を置いて話を続けた。
「女はインターホンにじっと立っていた。ただ立って、こちらを無表情で見つめている。それも、カメラのレンズに直接目を合わせているわけじゃなくて、まるでその向こう側、俺の存在を見通しているかのような視線だったんだ。じわじわと背筋が寒くなった。」
「女は何も話さなかったのか?」リョウが思わず口を開いた。
「ああ、何も話さない。ただ、そこに立っていた。無言で、まるで何かを待っているように。数秒間そのまま画面に映っていたんだが、次第に女の姿が少しずつ薄くなっていった。まるで、霧のようにゆっくりと消えていく感じだった。そして、完全に姿が見えなくなったんだ。」
私もその場面を想像して、ぞっとした。
「女が何をしに来たのかは全くわからない。俺の家を訪ねてきた理由も、何か要求があったのかも不明だ。ただ、あの映像を見た瞬間、明らかに普通じゃないものが俺の家に来たことは確かだった。」
アキラは少し疲れた表情を見せながら話を続けた。
「その後、俺は何度かインターホンの履歴を確認したが、あの女が再び訪れることはなかった。でも、一度だけその夜、家の中で妙な気配を感じた。誰かが外にいるような、でもそれが普通の人間じゃないことはすぐにわかった。結局、そのまま何も起こらなかったが、あの女が何かを伝えようとしに来ていたのか、今でも謎のままだ。」
リョウが震えた声で聞いた。「その後は何もないんだよな?」
「ああ、それ以来、あの女が録画履歴に映っていることはなかった。だが、彼女が何のために俺の家に来たのか、その理由は全くわからない。何か俺に聞いてほしかったのかな。」
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