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霊感を持つ男アキラが語る、日本人形を返すために廃墟に向かった夜…悪夢から解放されるまで 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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喫茶店の静かな空間の中で、私とリョウは今日もアキラの話を待っていた。アキラが語る体験談はどれもただ怖いだけでなく、得体の知れない何かを感じさせる。今日の話もまた、背筋が寒くなるような内容だった。

アキラは一口コーヒーを飲んでから、ゆっくりと語り始めた。

「今回の依頼は、子どもが悪夢に苦しんでいるという相談だった。普通の相談と違って、子どもの悪夢が妙に具体的で、それが連夜続くもんだから親が不安になって俺に頼んできた。」

アキラは少し間を置いて、表情を曇らせた。

「その子が毎晩見る夢っていうのが、日本人形が出てきて『帰りたい』と訴え続けるものだったそうだ。夢の中の人形は、動かないはずの目でじっと子どもを見つめ、何度も『ここじゃない…帰りたい』ってつぶやくらしい。母親も最初はただの悪夢だと思っていたが、毎晩同じ夢を見て、子どもの様子が日に日におかしくなってきたんだ。」

私とリョウはその話を聞いて、ぞくりと背筋が寒くなった。

「俺は子どもと直接会って、様子を見にその家に向かった。子どもは10歳くらいの男の子で、見た目は普通だったが、どこか怯えた様子があった。悪夢のせいで疲れているのか、目の下にクマができていて、母親の後ろに隠れるようにしていた。」

「その夢の中の人形について尋ねたんだ。そしたら、母親がぽつりと『実は…子ども部屋にその人形があるんです』って言ったんだ。」

リョウが驚いて声を上げた。「夢に出てくる人形が家にあるのか?」

「ああ、そうなんだ。」アキラは少し苦笑いを浮かべた。「母親が案内してくれた子ども部屋に入った瞬間、俺はすぐにその人形を見つけた。畳の上にぽつんと座っている、昔ながらの日本人形だった。長い黒髪に、着物姿。そして、何よりもその異様な存在感だ。目が生きているような感覚があった。」

「お前、その場でどうしたんだ?」リョウが少し身を乗り出して聞いた。

「まずはその人形の来歴を聞いてみた。すると、母親も最初は知らなかったが、後で息子に問い詰めたところ、その人形を心霊スポットで有名な廃墟から拾ってきたことがわかったそうだ。」

アキラの表情が険しくなった。

「心霊スポットにある物を持ち帰るのは最悪の選択だ。俺はすぐにその人形を引き取ることに決めた。『このままでは子どもがもっと危険な目に遭う』と母親に伝え、人形を持って廃墟に戻すことにした。」

「その晩、俺は一人でその心霊スポットに向かった。場所は山奥にある廃墟で、昔は旅館だったらしいが、今は崩れかけていて、人が寄りつかない。車を止め、懐中電灯を片手に廃墟の中へと足を踏み入れた。」

アキラの語りに、私とリョウは息を呑んだ。

「廃墟の中は風が抜けて、不気味な静寂が漂っていた。長い廊下を進み、人形が『元々あった場所』を探した。俺は何も言わず、人形が置かれていたと思われる部屋にたどり着いた。その瞬間、空気が一変したんだ。まるで、長い間待ち続けていたものが、ようやく帰ってきたかのような感覚があった。」

「俺はその場所に人形を置き、軽く手を合わせてお祈りをした。『ここに戻ってきたんだから、もう大丈夫だ』って心の中で念じた。」

「人形を元の場所に返した瞬間、廃墟全体に何かが解き放たれたような感覚があった。重苦しい空気が一気に軽くなり、まるで場所自体が安堵しているかのようだった。それ以上長居するべきじゃないと直感し、俺はすぐに廃墟を後にした。」

「その後、依頼主に確認したところ、子どもは悪夢を見ることがなくなったそうだ。あの日本人形を戻したことで、何かが解放されたんだろう。」



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