僕が飼っていた猫のミケは、つい先日天寿を全うした。15年という長い時間を一緒に過ごしてきた彼女は、僕にとって家族以上の存在だった。ミケがいなくなった家は、どこか空っぽで寂しい。夜になると、彼女の小さな足音が聞こえてきそうな気がして、何度も耳を澄ませてしまった。
目次
夜中の出来事
ある晩、いつもより早くベッドに入ったものの、ミケのことを思い出してなかなか寝つけなかった。目を閉じていても、彼女のふわふわの毛並みや甘えるような鳴き声が頭に浮かんでくる。
その時、部屋の隅で小さな気配を感じた。薄暗い部屋の中で、ふと目を開けると、ベッドの横に何かが動いているのが見えた。
驚いて体を起こすと、そこにはミケがいた。暗がりの中でも、白と茶色の毛がふんわりと揺れているのがわかる。僕は目をこすって確かめたが、ミケはそこにいて、静かにこちらを見上げていた。
特別な時間
「……ミケ?」
信じられない思いで名前を呼ぶと、ミケはゆっくりと近づいてきて、いつものように喉をゴロゴロと鳴らしながら、僕の手に顔を擦りつけた。その温もりと柔らかな毛の感触は、いつも通りのミケそのものだった。
僕は涙が込み上げるのを感じながら、ミケの背中を撫でた。心の中にぽっかりと空いていた穴が、彼女の存在によって少しずつ埋まっていくようだった。
ミケはしばらく僕のそばにいて、まるで「元気を出して」と言っているかのように目を細めてくつろいでいた。何も言葉はなくとも、心が通じ合っているように感じた。
朝の光
いつの間にか眠りに落ち、気づくと朝日がカーテンの隙間から差し込んでいた。ミケの姿はもう見当たらなかったが、不思議と心は穏やかで、温かい気持ちに包まれていた。
枕元には、ミケがよく遊んでいた小さな猫のおもちゃが置かれていた。ミケが夜の訪問で、これを僕に残していったのかもしれない。
「ありがとう、ミケ……」
そう呟きながら、僕はおもちゃをそっと手に取り、ミケとの特別な夜の思い出を心に刻んだ。それは悲しみを癒し、新たな一歩を踏み出す力を与えてくれる、不思議でほっこりとした出来事だった。
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