ミサキは一人暮らしで、愛犬のポチと一緒に暮らしていた。ポチは小さな白い犬で、家に帰るといつも嬉しそうにしっぽを振って迎えてくれる存在だった。仕事で疲れて帰っても、ポチの笑顔を見ると自然と心が和んだ。
ある夜、ミサキはふと目を覚ました。時計を見ると夜中の2時。寝苦しいわけでもないのに、なぜか目が覚めてしまった。隣で寝ているポチも何かに気づいたように顔を上げ、耳をピンと立てている。
「どうしたの、ポチ?」
ポチは何も言わずに、しっぽをゆっくりと振りながら玄関の方を見つめている。ミサキはその視線を追いかけ、なぜか急に外に出たくなった。夜中だというのに、ポチもそわそわしている様子を見て、ミサキは「ちょっとだけ散歩してみようか」と声をかけた。
目次
不思議な夜の散歩
外に出ると、空気はひんやりとして心地よく、夜空には無数の星が瞬いていた。ポチはまるで案内役のように、軽やかな足取りで夜道を進んでいく。普段は歩かない小道を曲がり、どんどん町の静かな住宅街を抜けていった。
「こんな夜中に、どこに行くのかな……」
ミサキが不思議に思っていると、ポチが急に立ち止まり、ミサキを見上げた。視線の先には、小さな公園があった。夜中なので、誰もいないはずなのに、そこには光に包まれた人影がポツンと座っていた。
近づいてみると、その人影はふとした瞬間に姿を消し、代わりにその場所にはポチそっくりの小さな犬の影が見えた。ミサキは驚いたが、ポチはその影に向かってうれしそうに駆け寄り、まるで友達に会ったかのように遊び始めた。
思い出の友達
その光景を見ているうちに、ミサキは思い出した。昔、幼い頃に飼っていた犬、シロのことを。シロは大きな白い犬で、ミサキが小学生の頃、一緒に遊んだり散歩したりした友達のような存在だった。シロは数年前に天国に旅立ったが、その思い出は今でも鮮明だった。
ポチはまるでシロの影と遊ぶようにくるくる回り、その影はポチを見守るように輝いている。ミサキは静かに涙をこぼしながらも、どこか温かい気持ちでその光景を見守っていた。
「シロ、会いに来てくれたの?」
心の中でそう問いかけると、ふわりと風が吹いてミサキの頬を優しく撫でた。風の中に、懐かしいシロの匂いが漂ったような気がした。
いつもの日常へ
やがてポチは遊び疲れたのか、ミサキのそばに戻ってきて座った。公園を見回すと、さっきまで見えていた犬の影はもう消えていたが、不思議とミサキの心は穏やかだった。
「さあ、帰ろうか」
ミサキがそう言うと、ポチは小さく吠えて答え、二人は家へと帰った。夜空の星は相変わらず静かに輝いていた。
次の日の朝、ミサキはポチを撫でながら、昨夜の出来事が夢だったのか現実だったのかを考えていた。でも、そんなことはどうでもよかった。ポチが嬉しそうにしっぽを振りながら、ミサキの顔を見上げるその笑顔を見ていると、ただ心が温かくなるのを感じた。
それからというもの、ミサキは時々夜中に散歩をするようになった。いつかまた、あの特別な友達が遊びに来てくれることを期待しながら。
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