怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

夢の中の友達 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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不思議な出会い

ユウキは大人になった今でも、心の中に小学生の頃の不思議な思い出を抱えていた。思い返せば、小学1年生か2年生の頃から始まったその夢――夢の中にだけ現れる友達がいたのだ。

その友達の名前は「アキ」。ユウキと同じくらいの年齢で、少し背が高くて笑顔が眩しい男の子だった。アキはいつもユウキを待っているように夢の中に現れ、どこに行く時も「さあ、行こう!」と手を引いてくれた。

夢の中の場所はさまざまだった。家の裏庭、公園、遊園地、広い原っぱ――どこであっても、アキと一緒に過ごす時間は現実よりも色鮮やかで、まるで生きているかのように感じられた。

遊園地での冒険

ある晩、ユウキは夢の中で見たこともない遊園地に立っていた。アキはすぐ隣で大きな観覧車を指差しながら、目を輝かせていた。

「今日はこれに乗ってみようよ!」
「うん、楽しそう!」

二人は手を繋いで観覧車のカゴに乗り込んだ。ゆっくりと上がっていくカゴから見下ろすと、夢の中の遊園地がカラフルな光で輝いている。観覧車が頂上に達した瞬間、アキが笑顔で「見て、あの遠くまで続く川!」と指差すと、川の上に太陽がオレンジ色に輝いていた。ユウキはその光景に胸がじんと温かくなった。

観覧車を降りた後は、広場に並ぶ大きな風船やお菓子の香りが漂う屋台を見て回った。アキは自分の帽子にユウキが選んだ青いリボンをつけてくれたり、ユウキはアキに大きな綿あめをおごってもらったりした。ふわふわの綿あめを二人で頬張りながら、「甘いね」「ほんとだ!」と笑い声が響き、周りの景色がさらに明るく見えた。

家の裏庭での秘密基地

別の夜には、ユウキの家の裏庭で二人だけの秘密基地を作って遊んだ。大きなダンボールを重ねて屋根にし、古い毛布を敷いて「秘密の基地だ!」と宣言したアキの目は、キラキラと輝いていた。

「ここなら誰にも見つからないね!」
「そうだね、僕たちだけの場所!」

秘密基地の中で、アキが小さなランタンを灯すと、淡い光がユウキの顔を照らし、二人は無言のまま笑い合った。夜風が草の香りを運び、近くでコオロギの声が響いていた。二人はその音を聞きながら、いつかの冒険や、どこか遠くの星の話を小さな声で語り合った。

最後の夜

小学6年生の終わり頃、ユウキはふと気がついた。あの夢を見たのはいつが最後だったのか――覚えていないほど遠ざかっていた。そして、あれほど親しかったはずのアキは、夢の中にしか存在しないことを理解し始めた。

でも、それは悲しいことではなかった。アキとの思い出はユウキの中で生き続けていたからだ。あの夢の中の遊び、笑い声、そして夜空の下で語り合ったこと――それはすべて、今も心の中で温かく光っている。

大人になったユウキは時折、その夢の中の友達を思い出して懐かしい気持ちに浸る。疲れた日や、寂しい気持ちに包まれたとき、あの夢の中で遊んだ記憶が彼を優しく包み込むのだ。

「アキ、ありがとう。君との思い出は、今も僕を支えてくれているんだよ」

ユウキにとって、夢の中の友達アキは、大人になってもずっと心の中でほっこりとした温もりをもたらしてくれる存在だった。



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