僕には、今でも忘れられない不思議な思い出がある。それは、小学校の低学年の頃に良く見ていた夢の中の話だ。夢の中で出会った友達、名前は確かリョウだったと思う。彼は僕と同じくらいの背丈で、いつも鮮やかな青色のTシャツを着て、笑顔が印象的だった。
夢はいつも違う場所で始まる。家の庭だったり、学校の校庭、公園や遊園地――場面は様々だが、夢の中でリョウと僕はいつも一緒に遊んだ。リョウと遊ぶのは、現実の友達と遊ぶよりも特別な楽しさがあった。僕たちは、まるで兄弟のように息が合い、夢の世界の中で駆け回った。
目次
公園での鬼ごっこ
ある日の夢では、僕とリョウは大きな公園にいた。青々とした芝生が広がり、滑り台やブランコ、鉄棒が点在している。リョウはいつものように笑って、「今日はオニだぞ!」と僕に言い、駆け出した。僕も負けじと笑い声をあげて追いかける。
「待てよ、リョウ!」
リョウは木陰に隠れたり、ベンチの下をくぐったりしながら、巧みに僕をかわしていく。風が僕たちの間を駆け抜け、葉っぱがサラサラと音を立てる中で、心臓がドキドキと高鳴る。リョウは振り向きざまに舌を出して、僕を挑発するように「ほら、捕まえてみろ!」と笑った。
僕は全速力で走り抜け、ついにリョウの腕にタッチした。その瞬間、二人で芝生に倒れ込み、空を見上げながら笑い声をあげた。青空に浮かぶ白い雲が、ゆっくりと形を変えて流れていくのを見て、僕たちはしばらく無言で眺めていた。
遊園地での冒険
別の夜、夢の中で僕たちは遊園地にいた。観覧車やメリーゴーランド、色とりどりの風船が空に漂っている。リョウは手を引いて、「次はあのジェットコースターに乗ろう!」と僕を連れて行く。風が涼しくて、心地よい緊張感が漂っていた。
僕たちは列に並んで、乗り場に立った。ジェットコースターが動き出すと、風が顔に強く当たり、周囲の景色が一気に流れ去っていく。リョウは隣で大声で笑い、僕もつられて声を張り上げた。体が宙に浮く瞬間、視界に映る街の灯りがキラキラと輝き、心の中がまるでパチパチと火花を散らすように興奮した。
「最高だな!」とリョウが言い、僕は「うん!」と答えた。僕たちは夜の遊園地を走り回り、風船を追いかけたり、綿菓子を持って笑い合ったりした。
夢の終わりと懐かしさ
夢を見るたびに、リョウとの遊びは心に焼き付いていった。2~3日に一度のペースで、その夢は続いた。だけど、小学6年生の終わり頃、ふと気づいたら夢を見なくなっていた。リョウも、その夢の公園や遊園地も、現実の中に戻ると影を潜めた。
大人になった今でも、僕はリョウの笑顔と、その夢の中での冒険をはっきり覚えている。あの夢は僕にとって、今でも不思議で、そしてとても温かい思い出だ。
「あの頃は楽しかったな……」と、時折ふと思い出しては、胸の奥がほっこりと温かくなる。リョウは今もどこか、夢の中で僕を待っているのかもしれない。
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