僕は古いものに目がなく、アンティークショップを見つけるとつい立ち寄ってしまう癖があった。ある日、ふと見つけた店で目を引いたのは、精巧なアンティーク人形だった。人形は、白い陶器の肌に、澄んだガラスの瞳を持ち、まるで何かを訴えているかのような表情をしていた。
「こんなに美しい人形は見たことがない……」
一目惚れしてしまった僕は、その人形を手に入れ、家のリビングの棚に飾ることにした。家には僕の愛犬、ポチがいて、普段は無邪気にリビングを走り回っている。
目次
ポチの異変
人形を家に持ち帰ったその日から、ポチの様子が変わり始めた。普段は元気いっぱいのポチが、リビングに入るときだけ尻尾を下げ、低い唸り声を上げるようになった。さらに、あの人形をじっと見つめると、耳を後ろに倒して後ずさりする。
「どうした、ポチ?」
不安に思いながらポチの背中を撫でるが、彼は怯えた目で人形の方を見ていた。僕は半信半疑で、人形を棚から取り出し、ポチに見せてみた。すると、彼は後ろに跳び、まるで逃げるように隅に駆け寄った。ポチの態度にぞっとし、人形を棚に戻したが、その夜から異変が始まった。
夜中の足音
深夜、いつものようにベッドで眠りについていると、どこからか小さな足音が聞こえてきた。カタ、カタと、何かが床を歩くような音。最初はポチが部屋を歩いているのだと思ったが、ふと見るとポチはベッドの上で怯えている。
「誰……?」
そう思い、部屋を見回すと、リビングの棚の方から物音がしたような気がした。恐る恐るリビングへ向かい、電気を点けたが、そこには何もない。人形は、まるで動いていないかのように棚に座っている。
人形の目
翌朝、ポチは一晩中怯えたままで、僕に寄り添って離れなかった。再びリビングに行くと、人形の瞳がわずかに違う方向を見ていることに気づいた。最初は棚の外を見ていたはずが、今は正面を向いている。
「まさか……」
その瞬間、寒気が背筋を走り抜けた。ポチは再び唸り声を上げ、僕の足元にピタリと寄り添っている。これ以上は危険だと感じた僕は、その人形をアンティークショップに戻しに行く決心をした。
後日談
その日から、人形は家から消えたが、ポチはしばらくの間、リビングに近づこうとしなかった。リビングの棚は今も空っぽのまま。何も置かないようにしているが、時折、夜になると小さな足音が聞こえるような気がする。
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