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アンティーク人形と猫の異変 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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ある日、古物市を訪れた時のこと。目についたのは、古びたアンティーク人形だった。美しい金髪のカールに、澄んだ青いガラスの瞳。その瞳は、まるで何かを見つめているようで不気味な魅力を放っていた。

家に戻ると、飼い猫のミルクが玄関先で待っていた。白い毛並みをふわふわ揺らし、僕の足元にすり寄ってくる。手に持っているアンティーク人形を見せると、ミルクは一瞬動きを止め、不思議そうな表情を見せた。

「どうした?ただの人形だよ」

軽く笑いながら、人形をリビングの棚に飾った。

猫の異変

その夜、寝室で本を読んでいると、ミルクがリビングに向かってじっと耳を立て、低いうなり声をあげた。普段はのんびりしたミルクが、まるで何かを警戒しているようだ。胸騒ぎを感じた僕はリビングを確認しに行ったが、人形はそこに座ったままだった。

夜が更けると、ミルクはいつもの寝床に行かず、僕の足元で丸まって寝ようとしなかった。瞳はじっとリビングの棚を見据えたまま、薄暗い部屋の中で何かを見つめているようだった。

夜中の出来事

深夜、静まり返った家の中に、微かなカタッという音が響いた。目を覚ました僕は、すぐにミルクが低く唸り声をあげているのに気づいた。リビングの方からは、何かが動いたような気配がした。

恐る恐るリビングの電気をつけると、アンティーク人形が倒れていた。棚の端に置いた覚えはないのに、まるで自分で動いたかのように、いつの間にか違う場所にあった。

ミルクは僕の足元に駆け寄り、瞳を大きく見開いて棚を睨んでいた。猫の耳はぴんと立ち、毛が逆立っている。

不気味な真相

翌日、古物市で人形を売っていた店主に話を聞くと、彼は少し困ったような表情を浮かべた。

「あの人形はね、持ち主の夢に入り込むと言われているんだ。多くの人が手放して、ここに戻ってきたこともあるんだよ」

その言葉に寒気が走った。家に戻ると、ミルクは僕の足元に寄り添って離れず、再びリビングをじっと見ていた。人形の青いガラスの瞳が、棚の中で光を反射して、不気味に輝いているように見えた。

最後の夜

その夜も、ミルクは僕の足元でじっと人形を見つめ続けていた。夜中に目を覚ますと、ミルクが低く唸りながら、リビングに向かって鋭く鳴いている。何かに反応しているのだ。

僕は決心して、人形を箱に詰めて家の外に出した。玄関を閉じた瞬間、家の中は静けさを取り戻した。ミルクもようやく安堵の表情を見せ、僕の膝の上に飛び乗ってゴロゴロと喉を鳴らし始めた。

その後、人形は二度と家に戻ってこなかった。だが、夜の静寂の中で、時折ミルクが何かに耳を傾けるたび、あの不気味な瞳が頭をよぎることがある。



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