目次
魅力的なアンティーク人形
主人公のユカリは、ある日アンティークショップで一体の人形に目を奪われた。柔らかな微笑みをたたえたその人形は、ふわふわのドレスをまとい、小さな鈴を首元につけている。どこか優しい雰囲気に包まれたその人形は、ユカリの心に不思議な温もりをもたらした。
「こんな可愛い子、うちに迎えたいな」
ユカリは迷わずその人形を購入し、自宅のリビングの棚に飾ることにした。毎晩、仕事で疲れて帰っても、その微笑みを見ると心が和み、日々の疲れが少しだけ癒やされるような気がしていた。
鈴の音が響く夜
ある夜、寝室で眠りについていたユカリは、ふと目を覚ました。静まり返った部屋に、小さな鈴の音がかすかに響いていた。
「……ん? 今、鈴の音?」
眠い目をこすりながら耳を澄ませてみると、リビングからほんのりと鈴の音が聞こえてくる。チリン、チリン、と小さくて優しい音だった。不思議に思いながらも、疲れていたユカリは再び眠りについた。
その夜から、鈴の音はたびたび夜中に聞こえるようになった。まるで誰かがそっと揺らしているかのように、リビングからチリンチリンと鈴の音が響いてくる。どこか懐かしく優しい響きで、ユカリの心をなぜかほっこりと温めてくれる。
人形の不思議な力
ある日、ユカリは友人を家に招待し、リビングで一緒にくつろいでいた。友人が人形に気づき、「可愛い人形だね、アンティークでこんなに穏やかな表情って珍しいよ」と言った。その言葉にユカリも思わず微笑み、人形の存在を再確認した。
「あのね、実は夜中に時々鈴の音が聞こえるの」
「え、怖いとかじゃなくて?」と友人は驚いた顔をしたが、ユカリはすぐに首を振った。
「不思議なんだけど、怖くないんだ。どこか温かい気持ちになるのよ。まるで小さな子供が遊んでるみたいで……」
ユカリ自身もその理由はわからないが、その鈴の音が毎晩の安らぎに思えてきたのだ。鈴の音が鳴ると、どこかで優しく見守られているような気がして、微笑ましい気持ちになる。
おばあちゃんの面影
しばらくして、ユカリはふとこの人形が誰かを思い出させることに気づいた。それは、幼い頃に大切にしてくれていた亡きおばあちゃんの面影だった。おばあちゃんも、ユカリが幼い頃から小さな鈴を使って遊んでくれていたことを思い出した。
「もしかして……おばあちゃんが見守ってくれているのかな?」
その夜、ユカリはリビングの人形にそっと話しかけてみた。
「おばあちゃん、ありがとう。元気でやっているから、心配しないでね」
すると、その夜の鈴の音はいつもよりも優しく、まるでおばあちゃんが答えてくれているかのようだった。
ユカリはその後も、静かで温かい鈴の音を聞きながら、毎晩穏やかな気持ちで眠りについた。おばあちゃんの愛情が形を変えて、そっと見守ってくれているような気がしてならなかった。
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