ある日、僕は古びたアンティークショップで小さな人形を見つけた。ふわりとカールした金髪に、青いガラスの瞳が印象的なその人形には、首元に可愛らしい小さな鈴がついている。どこか寂しげで愛らしいその姿に惹かれ、僕はその人形を家に連れて帰ることにした。
人形をリビングの棚に飾り、彼女を眺めながらほっと一息つくと、どこか心が和む気がした。なんだかずっとこの場所にいたかのように、リビングの一角にしっくりと収まっているのだ。
目次
鈴の音が聞こえる夜
数日が過ぎたある夜、寝室で本を読んでいると、どこからかチリン、チリンと小さな鈴の音が聞こえてきた。風もないのに不思議だと思いながら、耳を澄ませて音の出どころを探ってみると、どうやらリビングからのようだ。
恐る恐るリビングへ向かうと、人形はいつもと変わらず、そこに佇んでいる。僕は少し笑いが込み上げながら「気のせいか」と思って寝室に戻った。
それからも、夜になるとリビングから時折チリン、チリンと鈴の音が聞こえてくるようになった。なぜか怖さは感じず、むしろ人形が何かを知らせてくれているような、温かさを感じた。
人形の秘密
ある夜、どうしても気になって、もう一度リビングで人形に向き合ってみることにした。そっと手に取り、顔を覗き込むと、なぜかその青い瞳が、何かを伝えたいように見える。
「……もしかして、何か言いたいのかな?」
そんなことを呟いた瞬間、再びチリンと鈴が鳴った。まるで答えるように響くその音に、僕は胸が少しじんわりと温かくなった。
ふと気になって人形をよく見ると、鈴の内側に小さな紙切れが丸められて入っているのに気づいた。そっと引き出してみると、そこには子供のような筆跡で「ずっといっしょにいてね」と書かれていた。
夜中の鈴の音に包まれて
僕は不思議な縁でこの人形を手に入れたのかもしれない。夜中に鈴の音が聞こえるたびに、どこかで誰かが見守ってくれているような、そんな気がしてならないのだ。鈴の音が響くリビングで、僕は微笑みを浮かべて人形に向かってそっと呟く。
「こちらこそ、ずっといっしょにいるよ」
それからも夜中に時折聞こえるチリン、チリンという鈴の音は、僕にとってかけがえのない心温まる瞬間となったのだった。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み
1冊115円のDMMコミックレンタル!
人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】
人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】
ロリポップ!
ムームーサーバー
新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp
新品価格 |
ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |