目次
不思議なアンティーク人形
アンティークが好きなミカは、ある日ふらりと立ち寄った骨董店で、一体の人形に目を奪われた。その人形は精巧に作られた小さな顔立ちと、優しい微笑みをたたえていた。長いドレスを着たその人形の首元には、かすかな鈴がついており、光の加減でわずかに輝いていた。
「なんだか、いい夢が見られそうな気がする」
ミカはそんな気持ちを抱きながら、その人形を購入し、自宅のリビングの棚に飾ることにした。アンティークの人形がリビングにいるだけで、不思議と家の中が温かくなったように感じられた。
鈴の音が響く夢
ある晩、ミカは不思議な夢を見た。リビングからかすかな鈴の音が響き、静かな夜の中でチリン、チリン……と小さな音が鳴り続けている。鈴の音はとても穏やかで、どこか懐かしい気持ちになる音色だった。
夢の中でミカは布団から起き上がり、リビングに向かう。静かな暗闇の中、棚の上で人形がわずかに揺れており、鈴の音がそこから鳴っている。どこかで見守られているような、そんな気がして胸が温かくなる。
「……おやすみなさい」
そう呟くと鈴の音は静かに止み、心が安らぐのを感じながら、ミカは再び眠りに落ちた。
夢が続く夜
その後もミカは、リビングから鈴の音が聞こえる夢をたびたび見るようになった。ある夜、鈴の音に誘われるように再びリビングへ行くと、そこには夢の中にだけ現れる温かい光が漂っていた。人形のそばにしゃがみ込むと、どこからともなくほんのりとした笑顔の気配が感じられる。
夢の中の鈴の音は、まるで優しい守りの音のように、ミカの心に静かに響いていた。現実と夢の狭間で過ごすそのひと時が、ミカには何よりも心地よかった。
「誰かが、守ってくれているのかもしれない」
そんな気がして、ミカは夢の中で人形にそっと微笑みかけた。
不思議な真実
ある日、ミカは母親を家に招待し、アンティーク人形の話をすると、母親は驚いた表情を浮かべた。
「実はね、あなたのおばあちゃんも同じような鈴を持っていたのよ。小さな鈴で、よく夜に鳴らしていたの。どんな時もおばあちゃんはその鈴を鳴らしながら、家族のことを見守ってくれていたわ」
ミカは胸がじんと温かくなり、その話を聞いてからというもの、あの鈴の音がますます愛おしく思えるようになった。夜になると、夢の中で鈴の音が響き、どこかでおばあちゃんが優しく見守ってくれているように感じられた。
それ以来、ミカは夜ごとに鈴の音を楽しみに眠りにつくようになった。不思議で優しい鈴の音は、家の中にいる見守る存在の愛情が形を変えて響いているようで、彼女の心を温かく包んでいた。
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