ある日、僕は古びたアンティークショップで小さな人形を見つけた。柔らかな巻き毛に深い青色の瞳が印象的なその人形には、首元に小さな鈴がついていた。店主によると、長い間誰かに引き取られることなく店に残っていたらしいが、その人形の不思議な雰囲気に惹かれ、僕は迷わず購入した。
家に帰ると、リビングの棚に人形を飾った。暗い部屋にどこか寂しげにたたずむその姿は、やはり何かを訴えかけているように感じられた。
目次
不気味な夢の始まり
その夜、ベッドに入って眠りについた。しばらくすると、夢の中でうっすらと鈴の音が聞こえてきた。遠くで誰かが揺らしているような、小さな鈴の音。
私は音の出どころがきになり、音の出どころを探してリビングに行くと――暗がりの中、人形が不自然な姿勢でこちらを見ている気がした。そこで突然目が覚め、気づけばベッドに戻っていた。
「変な夢を見たな……」
そう呟きながら眠りに戻ろうとしたが、夢の中で聞いた鈴の音が耳に残り、不安な気持ちを抱えたまま夜を明かした。
繰り返される鈴の音
それから数日、同じような夢を見るようになった。夢の中で鈴の音が遠くから響いてきて、リビングに行くと人形が微妙に動いているように感じる。そして、そのたびに背筋に冷たいものが走った。
ある夜、夢の中でリビングの扉を開けると、鈴の音がいつもよりもはっきりと響いた。音の出どころを目で追うと、棚の上の人形が少しだけこちらに体を向けている気がした。
次の瞬間、鈴が大きく鳴り響き、僕は夢から目を覚ました。
現実の鈴の音
それ以来、夢で聞こえるはずの鈴の音が、現実でもかすかに聞こえるようになった。夜中、誰もいないリビングから、小さなチリン……チリンという音が微かに響くのだ。
気のせいだと自分に言い聞かせながらも、不安を抑えきれなくなった僕は、意を決して深夜のリビングに向かった。暗闇の中、鈴の音はさらに大きくなり、僕の心臓の鼓動と共鳴しているかのようだった。
リビングに入ると、棚の上の人形が僕を見つめている。目が合った瞬間、体がすくんで動けなくなり、鈴の音が頭の中で鳴り響いた。
「これ以上は……もう耐えられない!」
そう思った僕は、翌日、店に人形を返しに行った。
鈴の音の残像
人形を返してからしばらく経つが、夜になると時折チリン、チリンと鈴の音が耳の奥で響くことがある。耳に残るその音は、今も僕を追いかけているのかもしれない。
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