怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

消えたブログ 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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不気味なブログ

主人公のユウジは、ある日何気なくネットを見ていると、「私を見つけた人へ」というタイトルのブログに目が留まった。なんとなく気になってクリックしてみると、そこには女性らしい筆者が、日常に潜む小さな不安や恐怖を綴っている記事が並んでいた。

ブログの初めは、夜になると部屋の隅に気配を感じる、家にいると誰かに見られているような気がする、という些細な内容だった。しかし読み進めるうちに、その不安が少しずつ現実味を帯び、得体のしれない何かに追い詰められているような印象を受けるようになった。

ユウジはその奇妙なブログに強く引き込まれ、気づけば過去の記事まで遡ってすべて読み終えていた。

日に日に迫る恐怖

ブログは、ほぼ毎日更新されていた。ある日、筆者がこう書いていた。

「最近、夜になると視界の端に黒い影が現れるようになりました。最初は気のせいかと思いましたが、日に日に鮮明になっていくのです。誰か、助けてください……」

この投稿には多くのコメントが寄せられ、筆者を心配する声や、助けになりそうな情報が書き込まれていたが、その影を追い払う方法は見つからないままだった。

数日後、投稿にはさらに恐ろしい内容が記されていた。

「昨夜、黒い影が部屋の中で私のすぐ後ろに立っているのを感じました。息が止まりそうでした。誰かがそばにいるような感じがして……でも、振り返れませんでした。」

その投稿を見たユウジも、心の底からゾッとした。彼もコメントを残し、何か助けになる方法を伝えようとしたが、何も思いつかず、ただ「どうかご無事で」と書くことしかできなかった。

追い詰められる投稿

それからというもの、ブログはどんどん異様な内容になっていった。筆者は影に追い詰められている感覚が強くなり、どうすれば助かるのかをコメントで問いかけるようになっていった。

「昨夜は、部屋のドアが勝手に開き、影がゆっくりと私に近づいてきました。誰か助けて、もう限界です……」

その投稿には、心配するコメントがさらに増えたが、助けになる方法は見つからなかった。ユウジもコメントを続けていたが、自分では何もできないことに苛立ち、気持ちが重くなる一方だった。

最後の投稿

そしてついに、ブログの最後の投稿がアップされた。

「もう、ダメかもしれません。昨日の夜、影が私に触れました。冷たく、骨の奥まで響くような感覚でした。これが最後のお願いです。私のことを覚えていてください。誰かが私のことを忘れない限り、私はここにいるはずですから。」

その言葉に、ユウジは胸が締め付けられる思いがした。どうか無事でいてほしいと祈るしかなかったが、翌日以降、ブログが更新されることはなかった。

消えたブログ

不安な気持ちで日々を過ごしながら、ユウジは毎日ブログの更新を確認していたが、ついに何日経っても新しい投稿は現れなかった。そしてある日、再びブログを開こうとすると、ページが存在しなくなっていた。

ブログ自体が消えていたのだ。

「一体、どういうことだ……」

ブログに残したコメントを読み返そうとしたが、それも消えてしまっている。ユウジの中で、あのブログと筆者の存在がまるで幻であったかのように思えてきた。

それでもユウジはあの日々の記憶が忘れられず、夜が更けるとどこからか「忘れないで……」と囁く声が聞こえるような気がしてならなかった。



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