ある日、僕はふらりと立ち寄った骨董品店で、小さな鈴を見つけた。鈴には可愛らしい花模様が刻まれ、どこか懐かしい雰囲気を漂わせていた。その店の主は年配の女性で、僕が鈴を手に取ると「不思議な鈴なんですよ」と微笑んで話しかけてきた。
「この鈴には、なんだか癒やしの力があるみたいで、音を聞いた人はみんな、心が少し軽くなるって言うんです」
そう聞いた瞬間、僕はなぜかその鈴を手放せなくなり、購入することにした。手のひらに収まるその鈴を鳴らすと、チリン……チリン……と、柔らかく優しい音が響き、耳元で静かに消えていく。いつまでも余韻が心に残り、聞いていると不思議と心が落ち着いてくるのを感じた。
目次
不思議な夜の訪れ
その夜、仕事の疲れを感じていた僕は、帰宅して鈴を振ってみた。チリン……と柔らかな音が響いた瞬間、ふっと肩の力が抜け、心がほっとした気持ちになった。
すると、不思議なことが起こった。辺りは真夜中の静寂に包まれていたが、耳を澄ますと遠くでチリン、チリンという鈴の音がかすかに聞こえてきた。まるで誰かが僕を呼んでいるかのようだ。
気になって窓を開けると、夜空には無数の星が広がり、どこからともなく鈴の音が風に乗って流れてきた。音の方向を追うと、近くの公園のほうから微かな鈴の音が聞こえてくる。
夜の公園での出会い
僕は気づけばその音に誘われるようにして、夜の公園に向かっていた。静まり返った公園の中で、鈴の音はますますはっきりと聞こえる。見回すと、ベンチに誰かが腰掛けているのが見えた。そこに座っていたのは小さな女の子で、手には同じような小さな鈴を持っていた。
「こんな夜中に……」
そう思って声をかけようとした瞬間、女の子は僕に気づいたように顔を上げ、鈴をチリンと鳴らして微笑んだ。その笑顔はどこか懐かしく、僕はまるで久しぶりに旧友と会ったかのような感覚を覚えた。
「あなたも鈴を持ってるんだね」
女の子は、僕の手に握られた鈴を見て言った。僕がうなずくと、彼女は少し嬉しそうにまた鈴を鳴らし、そして次第にその姿がかすんで消えていった。
鈴の音の癒やし
次の瞬間、僕は家のベッドの上で目を覚ました。深夜に出かけた記憶があるのに、いつの間にか眠っていたのだろうか。不思議な気持ちで胸がいっぱいになる中、僕はまた鈴をチリンと鳴らしてみた。
その音は、まるであの女の子の笑顔と共に、僕の心の中に温かく響き渡った。不思議と気持ちが落ち着き、また明日から頑張ろうという気持ちになった。
それ以来、疲れた夜にはあの鈴を鳴らすのが習慣になった。チリン、チリンと響くその音は、まるで優しい友人がそばにいてくれるかのようで、いつも僕の心を癒やしてくれる。
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