私は30代も半ばに差し掛かり、仕事に追われる毎日を過ごしている。そんな生活の中で、ふと年の離れた弟のことを思い出すことが増えた。彼が生まれた時、私はすでに高校生だったので、幼い頃から特に親しく遊んだ記憶はないが、それでも何かとかわいがってきたつもりだった。
私たちは10年以上の年の差があり、今や彼もすっかり大人だ。しかし最近、彼のことを思い出すたびに、奇妙な既視感が私の頭をよぎる。
目次
弟との記憶
ある日、ふとしたきっかけで古いアルバムを開いてみた。ページをめくると、弟が生まれたばかりの頃の写真がたくさん並んでいる。父や母と写る赤ん坊の弟を眺めているうちに、ふとある写真が目に留まった。
それは私が小学生の頃に撮った家族写真だった。みんなが庭に集まって笑顔で写っている。だが、その写真の隅に、一人の小さな男の子が写り込んでいるのに気づいた。服装や顔立ちはどう見ても弟だが、その時彼はまだ生まれていないはずだ。
「……どうして?」
奇妙な気持ちになり、他の写真もめくってみると、どれも時折、まだ生まれていないはずの弟が写り込んでいるように見える。どういうわけか、彼が成長する前から私の生活の片隅に存在していたような気がしてならなかった。
夢の中での弟
その夜、弟のことが気になって眠れず、布団に入ったまま考え事をしていた。ようやくうとうとし始めたその時、夢の中に弟が現れた。
夢の中の弟は、小学生の頃のあどけない姿で、私に向かって微笑んでいる。その姿に安心感を覚えながら話しかけると、彼は「昔からずっとここにいるよ」とだけ言った。
その言葉にハッとして目が覚めると、部屋には夜明け前の静けさが漂っていたが、なぜか隣で眠る弟の姿が一瞬浮かんだ気がしてならなかった。
不思議な縁
それ以来、私は弟がもしかすると私の「生涯にわたる伴侶」のような存在だったのではないかと考えるようになった。思い返せば、ずっと前から、時々私を見守るような存在感を感じることがあった。彼が本当に私の弟なのか、それとも単なる家族を超えた存在なのかはわからないが、その不思議なつながりが今もなお、私を安心させてくれるような気がしている。
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