怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

神社の向こう側 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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孤独な日々

中学生のカナは、学校でいじめを受けていた。学校では無視され、机の中にゴミを入れられる日々。どこへ行っても笑い声が聞こえると、それが自分を嘲っているように感じられた。誰にも相談できず、家に帰ってもため息をつくだけだった。

学校帰りの道すがら、カナは必ず目にする小さな神社があった。古びた鳥居と苔むした石段が続くその神社は、周囲の誰も気に留めることのない場所だったが、カナにとっては唯一、静かに落ち着ける場所だった。

ある日、カナは学校での嫌な出来事から逃げるように、神社へと足を向けた。

神社での願い

薄暗い夕暮れ時、カナは神社の石段に腰を下ろし、何も考えずに空を眺めていた。ふと視線を上げると、賽銭箱の前に古い木札が置かれているのに気づいた。その木札には、「願いを告げよ」とだけ書かれていた。

「……もし神様がいるなら、こんな毎日を変えてほしい……」

カナは思わず口に出してしまった。すると、吹き抜ける風とともに、どこからか鈴の音が響いてきた。軽やかで心地よい音だったが、どこか異様に感じられた。

異世界への扉

翌朝、カナはいつも通り学校へ向かったが、道の途中で奇妙なことに気づいた。周囲の景色がどこか違う。見慣れた住宅街の先に、見覚えのない木々が生い茂る道が続いている。気づけばカナは、昨日訪れた神社へと足を運んでいた。

だが、神社の鳥居をくぐった瞬間、周囲の空気が一変した。辺りは見たこともない景色に変わり、青空が広がる異世界のような場所が目の前に広がっていた。

「ここは……どこ?」

不安を抱えながら歩き出すと、どこからともなく子どもたちの笑い声が聞こえてきた。カナが振り向くと、周囲には優しげな顔をした人々が立っており、彼女を温かく迎え入れた。

新しい世界

その世界では、誰もが優しく、カナを嘲笑する者は一人もいなかった。村人たちはカナに「ここは心が傷ついた者たちが休息を得る場所だ」と説明した。カナは初めて、自分を受け入れてくれる人たちと出会い、胸の奥から涙が溢れた。

「ここでなら、ずっと幸せに暮らせるのかな……」

しかし、カナがその場所での生活に慣れ始めた頃、不思議な夢を見るようになった。夢の中では、学校で笑い声を上げるクラスメイトたちが映し出され、その中に過去の自分の姿も見えた。

戻るべき場所

夢を見続けるうちに、カナは次第に思い出した。彼女もまた、いじめられる前に誰かを傷つけるような言葉を発したことがあったのではないかと。

ある日、神社の鳥居が再び現れた。村人たちは何も言わず、ただ静かに見守った。カナは鳥居の前で立ち止まり、自問自答した。

「この世界にずっといてもいいのかな……でも、私にはまだやり直せることがある気がする……」

勇気を振り絞り、カナは鳥居をくぐり、元の世界に戻ることを選んだ。

新しい一歩

目を覚ますと、カナは神社の石段に座っていた。周囲の景色は元通りで、何も変わらないように見えたが、彼女の心には不思議な感覚が残っていた。

次の日、学校に向かったカナは、いじめていたクラスメイトたちに対して少しずつ立ち向かう決意をした。完全に状況が変わることはなかったが、彼女の中に確かな強さが生まれていた。

「もう一度、自分の足で歩いてみよう」

あの日、神社で起きた不思議な出来事は、カナにとって新しい一歩を踏み出すきっかけとなったのだ。

その後、カナは時々神社を訪れ、鳥居を見上げては自分の決意を思い出すのだった。あの異世界が本当にあったのか、それとも夢だったのか――答えは分からないままだった。



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