目次
【プロローグ】
深夜0時過ぎ、残業を終えて電車で帰宅する佳奈。都内の一人暮らしは慣れているが、疲労で朦朧とする頭がどこか落ち着かない。終電に乗り込んだ佳奈は、普段と違う何かに気づき始める。
【異様な電車】
終電の車内はほとんど空いていた。だが、どこか妙な気配がある。車両の端に座る中年男性が、じっと佳奈を見つめている。
目が合うと彼はすぐに視線を逸らしたが、妙な違和感が残った。さらに周囲を見渡すと、乗客のほとんどが無表情で何かを握りしめている。スマホではない――古びた紙片のようだ。
「なんだろう、あれ…」
車内アナウンスが流れる。
「次は…終点。」
佳奈は驚いた。彼女の降りる駅はまだ先のはずだった。
【見覚えのない駅】
電車が停車し、車内の乗客が一斉に立ち上がる。全員が何かに取り憑かれたような動きで降りていく。佳奈も仕方なく降りるが、そこは見覚えのない駅だった。
駅名を示す看板には、ぼんやりとした文字で「帰れない駅」と書かれている。
「帰れない駅…?こんな駅、聞いたことない…」
辺りを見回すが、出口はなく、改札口すら見当たらない。乗客たちは無言でどこかへ消えていく。佳奈が不安に駆られて再び電車に乗り込もうとすると、電車のドアが静かに閉まり、音もなく走り去った。
【終わりなき階段】
残された佳奈は、唯一目についた階段を登るしかなかった。しかし、その階段はどこまでも続いている。歩けど歩けど出口が見えない。
やがて、階段の隙間から誰かが覗いているのに気づいた。目だけがこちらを見つめている。
「誰かいますか!?」
叫ぶが返事はない。気づけば背後から足音が近づいてくる。振り返ると、先ほど電車に乗っていた中年男性が、無表情で立っていた。
「電車を降りないければよかったのに。」
彼はそう呟くと、佳奈に紙片を差し出した。震える手でそれを受け取ると、そこにはこう書かれていた。
「次の終点は、あなたの家。」
【帰宅】
目が覚めると、佳奈は自分の部屋に戻っていた。夢だったのかと安堵するが、玄関のドアに目をやると、そこには電車で見た中年男性が立っていた。
そして、彼がドアをノックすると、佳奈のスマホに通知が届いた。
「次の終点は、あなたの番。」
その夜以来、佳奈は姿を消した。
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