田中雄介は、倉庫でいつものように書類整理をしていた。膨大な量の資料を仕分けしている最中、一本のビデオテープが入った封筒を見つけた。その封筒には、年代物のビデオテープが一本収められており、さらに中にはその内容を説明する文書が同封されていた。
ビデオのラベルには手書きで「記録映像 - 未公開」と書かれているだけで、詳細は一切記載されていなかった。雄介は興味を引かれ、説明文書を取り出して読み始めた。
目次
ビデオテープ内容説明書
記録映像に関する説明書
映像タイトル:未確認現象の記録映像
撮影日時:1987年7月15日
撮影場所:〇〇県△△村近郊
撮影者:不明
映像の背景
このビデオテープは、1987年に〇〇県の山中で撮影されたものです。当時、△△村では奇妙な現象が頻発しており、地元の住民たちは「山の神の怒り」としてその出来事を語り継いでいました。撮影者は不明ですが、この映像は、現象を記録しようとした個人または研究者によるものと推測されています。
映像は未編集の状態で、撮影されたままの内容が収録されています。全体の長さは約45分。映像の中では、村の周辺で発生した不可解な現象が順を追って記録されています。
映像の内容説明
(1) 最初の10分間
ビデオの冒頭では、△△村の近郊にある森の映像が映し出されます。撮影者は、手持ちのカメラを使いながら静かな森の中を進んでいます。鳥のさえずりや風の音が微かに聞こえ、初めは特に異常な点はありません。しかし、数分経つと突然音が途切れ、静寂が広がります。
説明文によれば、この場面では森の奥からかすかに聞こえる奇妙な「囁き声」が確認されたとのことです。録音機器を使えばその声がより明確に聞き取れるらしいですが、内容は不明。
(2) 次の15分間
森を抜けた撮影者は、小さな廃墟と化した神社に到着します。説明書によると、この神社は村の住民によって数十年前に放棄されたものであり、現在では誰も訪れなくなっている場所だそうです。
映像には、神社の鳥居が倒れている様子や、苔むした石碑が映し出されています。神社の内部にカメラが入ると、壁や天井に不自然な焦げ跡のようなものが確認されます。特に注目すべきは、神社の中央に置かれた壊れた鏡のような物体で、カメラがそれにズームインした瞬間、映像にノイズが混じるとのことです。
ノイズが入った直後、背景に「誰かの息遣い」のような音が記録されていると説明書には書かれていました。
(3) 次の10分間
再び森を歩く映像に戻ります。この部分では、撮影者が周囲を警戒するような動きを見せており、カメラが頻繁に森の奥を映します。説明書によれば、この場面では画面の隅に「何かが動いている」様子が映っているとされています。
特に7分ほど進んだ場面では、木々の間に白い影が一瞬だけ写り込んでいます。この影について、説明書では「人間のように見えるが、異様に背が高く、輪郭がぼやけている」と記されています。また、その影がカメラに向かって動いてくるような錯覚を覚えるとも書かれていました。
(4) 最後の10分間
映像の最終部分では、撮影者が廃村に到着します。この村は現在では誰も住んでおらず、放棄された家屋が点在しているのみです。カメラは一軒の家の中を映し、荒れ果てた室内の様子を記録しています。
説明書によれば、この場面で最も奇妙なのは、無人の家の中から「子供の笑い声」が聞こえる瞬間だそうです。笑い声はカメラに記録されており、家の中を回るたびに音が近づいてくるように聞こえるとのこと。
映像の最後は、カメラが急激に揺れると同時に音声が途絶え、画面が真っ暗になる形で終了しています。その後、ビデオには何も映っておらず、撮影者がどうなったのかは記録されていません。
注意事項
説明書には、このビデオを視聴する際の注意点がいくつか記載されていた。
映像の一部は視覚的・聴覚的に不快感を与える可能性があります。
心臓の弱い方や精神的に不安定な方の視聴は推奨されません。
この映像は公式の記録ではなく、真偽について保証はできません。
映像の結論
説明書の最後には、このビデオが未確認現象に関する重要な資料である可能性が示唆されていた。一方で、撮影者の失踪や、この映像がどのようにして手元に渡ったのかについては、一切不明のままとなっている。
「この映像を見た後、森に入った者が戻ってこなかった」という噂も記載されており、ビデオが残す余韻と謎が大きく膨らむ内容だった。
読み終えて
田中雄介は、説明書を読み終えた後、ビデオテープを慎重に封筒に戻した。その内容は興味深いものでありながら、不安を掻き立てる要素が多く含まれていた。映像そのものを見ることはできなかったが、説明書に書かれている奇妙な現象の数々が頭から離れない。
彼は、このビデオと説明書を「未確認現象・記録映像」のカテゴリに分類し、棚にそっと収納した。その後も作業を続けたが、説明書に書かれていた「白い影」や「子供の笑い声」の記述が、脳裏に焼き付いて離れなかった。
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