大学生の夏休み、僕は特にやることもなく、家でダラダラと過ごしていた。スマホをいじるのが日課のようになり、SNSや動画アプリを延々とスクロールして時間をつぶしていた。
そんなある日、スマホの画面に見慣れない通知が表示された。
「新しいアプリをインストールしますか?」
何か押した覚えはないし、リンクを踏んだ記憶もない。ウイルスの心配もあって、普通なら「いいえ」を選ぶところだが、その日は退屈しすぎていたのか、何の気なしに「はい」を押してしまった。
目次
不思議なアプリ
インストールが完了すると、ホーム画面に新しいアプリのアイコンが現れた。それは黒い背景に、白く奇妙な模様が描かれたシンプルなアイコンだった。
名前は「Mirror」。
気味が悪いと思いながらも、何か面白い機能でもあるのかと興味本位でアプリを起動してみた。
アプリの中の自分
アプリを開くと、画面にはカメラが起動し、自分の顔が映った。最初はただのカメラアプリかと思ったが、画面の中の自分が何か違うことに気づいた。
「え……?」
画面の中の自分は、まばたきのタイミングが少しずれていた。まるで鏡の中の自分が、生きている別の存在のように勝手に動いている感じだった。
試しに手を振ってみると、画面の中の自分も同じように手を振る――しかし、手を下ろした瞬間、画面の中の僕の手が止まらず、さらに動き続けた。
「おかしい……」
怖くなってアプリを閉じようとしたが、画面がフリーズし、閉じることができない。スマホを再起動しても、アプリは消えなかった。
奇妙な通知
その夜、アプリを削除しようと試みたが、スマホの設定画面にアプリの表示がなかった。代わりに、画面の上部に通知が表示された。
「もっと知りたいですか?」
何を知りたいのかも分からず、すぐに通知を消したが、その後も数分おきに同じ通知が繰り返し現れた。
最終的に僕は通知を無視し、ベッドに入ることにした。しかし、スマホの画面が勝手に点灯し、再びカメラが起動する音が聞こえた。
恐る恐るスマホを手に取ると、カメラに映るのは僕の寝室――そして、僕の背後に立つ見知らぬ誰かの姿だった。
消えたアプリ
叫び声を上げ、振り返ると誰もいなかった。しかし、スマホの画面には先ほどの影が鮮明に映り続けている。僕はパニックになり、スマホを投げ出した。
次の日、意を決してスマホを確認すると、アプリは消えていた。ホーム画面からも設定画面からも、「Mirror」の痕跡はどこにも見当たらない。
ただ、一つだけ不可解なことがあった。スマホのカメラロールに保存されていた一枚の写真――そこには、画面いっぱいに僕の顔と見知らぬ何かの笑顔が映っていた。
それから
それ以来、僕は不意にカメラが起動することが怖くなり、スマホを新しいものに買い替えた。しかし、新しいスマホにも時々、通知が届く。
「もっと知りたいですか?」
僕はその通知を開く勇気を、今も持てずにいる。
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