目次
【プロローグ】
ゲーム好きの優一は、時間があればいつもオンラインゲームに没頭していた。仲間たちとボイスチャットで連携を取り合い、勝利を目指す時間が彼の最大の楽しみだった。
そんな中、大学時代からの親友・翔太が突然亡くなった。翔太はゲーム好きではなく、二人の友情の中心はむしろ音楽や旅行だった。それだけに、翔太がいなくなった事実は優一の心に深い傷を残した。
ゲームに逃げ込んでも、ふとした瞬間に翔太のことを思い出してしまう。あの時もっと話していれば、もっと一緒にいれば――そういった後悔ばかりが頭を巡り、ゲームに集中できなかった。
【初心者からのメッセージ】
ある晩、優一がオンラインゲームをプレイしていると、ゲーム内のメッセージが届いた。送信者は見知らぬ初心者プレイヤーだった。
「こんにちは!このゲームを始めたばかりでよく分からないんですけど、もし良かったら一緒に遊びませんか?」
普段ならあまり反応しない優一だが、その日はどうにもゲームに集中できず、気分転換も兼ねてその初心者とパーティを組むことにした。
「OK。初心者なら、まずは簡単なミッションからやってみようか。」
相手のキャラクター名は「Shota23」。偶然だと思いながらも、その名前が亡くなった親友と同じだったことに少し胸がざわついた。
【一緒に遊ぶ日々】
「Shota23」と一緒にゲームをする日々が続いた。彼は確かに初心者だったが、ゲームのセンスが良く、教えたことをすぐに覚えていった。
「ありがとう。すごく丁寧に教えてくれるね。」
「まあ、こういうの慣れてるからさ。」
自然と会話も増え、ゲームを超えて何気ない話題で盛り上がることも多くなった。そのたびに、どこか翔太を思い出すような懐かしさを感じた。
【似ている言葉遣い】
やがて、「Shota23」の言葉遣いに気づき始めた。
「お前、これ知ってる?すっごい楽しいんだよ!」
「いや、それは無理だって。やめとけよ!」
それは翔太がよく使っていた言葉そのものだった。さらに、ゲームの中での行動や反応が、翔太の性格にそっくりだったことに気づく。
「まさか、そんなはずないよな…」
そう自分に言い聞かせながらも、心の中で不安と期待が入り混じる感覚が膨らんでいった。
【確信へ】
ある日、ゲーム内でのミッションを終えた後、「Shota23」と雑談をしている中で、翔太しか知らないはずの話題が出てきた。
「優一、あの時お前、ギター弾けないのに調子乗ってステージ上がっただろ。超ウケたよな。」
「それ…翔太しか知らない話なんだけど。」
一瞬、画面の前で手が止まった。そのことを指摘すると、「Shota23」は少し間を置いて答えた。
「…なんでだろうな。俺もよく分からないけど、なんだかお前と話してると懐かしい気分になるんだ。」
【最後のメッセージ】
疑念は確信に変わりつつあった。しかし、優一はそのことを深く追及しようとはしなかった。ただ、一緒にゲームをし、翔太のような相手と話せる時間が心地よかったからだ。
ある晩、「Shota23」とのゲームの後、メッセージが届いた。
「これまで一緒に遊んでくれてありがとう。俺、もう少ししたらこのゲームをやめると思う。でも、お前のことはずっと忘れない。」
「なんでやめるんだよ?」
画面に表示された答えは短かった。
「ちゃんと前に進むためにさ。」
そのメッセージを最後に、「Shota23」のアカウントはゲームから消えていた。
【エピローグ】
翔太が亡くなってから、優一はずっと心の中で引きずっていた。しかし、「Shota23」との時間を通して、その重みが少しだけ軽くなっていることに気づいた。
「前に進む…か。」
翔太が実際にゲームをしていたのか、それともただの偶然だったのかは分からない。それでも、優一はもう一度ゲームを起動し、親友が教えてくれたような新しい一歩を踏み出す覚悟を決めた。
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