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夢の中の洋館 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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毎晩同じ夢

ミカは毎晩同じ夢を見ていた。それは、古びた洋館の中を彷徨う夢。

夢の中の彼女は、洋館の廊下を進み、朽ちた階段を上がり、最後に大きな鏡の前で立ち止まる。

しかし、鏡に映るのは彼女自身ではなく、見知らぬ女性の顔だった。冷たく無表情なその顔に、ミカは毎回目を覚ます。

洋館の正体

ある日、友人と話している中で、ミカは驚くべきことを知る。夢で見ていた洋館が、実在する場所だったのだ。

その洋館は街外れにあり、長らく放置されているという。興味と不安が入り混じった感情のまま、ミカはその洋館を訪れる決心をする。

洋館の中へ

薄暗い曇り空の下、ミカは洋館の前に立った。夢で見たのと全く同じ外観に、背筋が冷たくなる。

扉を開けると、きしむ音と共に、夢と全く同じ廊下が広がっていた。

「本当にここだ……。」

ミカは夢と同じ動きをするように、廊下を進み、階段を上がっていく。

鏡の前で

ついに、夢と同じ場所にたどり着いた。

大きな鏡が立っている部屋だ。夢の中と全く同じ位置に鏡があり、周囲の家具や装飾品までそっくりだった。

恐る恐る鏡を覗き込むと、そこにはやはり、自分ではない女性の顔が映っていた。その顔には見覚えがあった。

「これ……家族写真で見たことがある……。確か、遠い親戚の……。」

彼女は幼い頃に家族のアルバムで見た、行方不明になった親戚の女性だった。

時間の停止

突然、周囲が静まり返り、まるで時間が止まったかのようになった。

鏡の中の女性が口を開き、声が響く。

「助けて……ここから出して……。」

驚きと恐怖で言葉を失うミカ。しかし、鏡の中の女性は、過去の出来事を語り始めた。

囚われた魂

その女性は、数十年前にこの洋館で恐ろしい出来事に巻き込まれたという。洋館の持ち主である一族が行った儀式によって、魂が鏡に封じ込められてしまったのだ。

「お願い……この鏡を解放して……。そうしないと、私だけじゃなく、あなたにも危険が……。」

ミカは恐怖を押し殺し、女性の指示に従うことを決意した。

手がかりを探す

洋館の中を探索していくと、古びた日記や儀式の痕跡が見つかった。日記には、一族が財産や力を得るために行った儀式の詳細が記されており、その中で「魂を鏡に封じ込める」という呪術のことが書かれていた。

さらに進むと、地下室への扉を見つけた。そこには古い燭台が並び、中央にはもう一枚の小さな鏡が置かれていた。

解放の儀式

鏡の中の女性は、ミカにその鏡を使って儀式を逆転させる方法を教えた。

指示通りに手順を進めると、鏡の中から強い光が放たれ、部屋全体が震えた。

「ありがとう……これで……自由に……。」

女性の声が遠ざかり、最後に微笑みを浮かべると、鏡の中からその姿が消えた。

その後

儀式が終わると、洋館全体が急に朽ち果て始めた。ミカは慌てて洋館を後にし、振り返ると、洋館はまるで何十年も経ったかのように崩れ落ちていた。

それ以来、ミカの夢にあの洋館が現れることはなくなった。しかし、鏡の前に立つたび、ふと親戚の女性の微笑みが浮かんでくる気がする。

「もしかしたら、あの人は今もどこかで見守ってくれているのかもしれない。」



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