目次
プロローグ
スマートフォンの普及で、私たちは日々無数のメッセージや通知を受け取る。知らない番号からの連絡は誰でも不安を感じるものだが、無視してしまえばそれ以上の害はない。
しかし、この話の主人公、涼太(りょうた)は、無視するべきだった一通のメッセージに気づいてしまった。それが、全ての始まりだった――。
突然のメッセージ
ある日の深夜、涼太のスマホが小さなバイブ音を立てた。
「こんな時間に誰だ?」
画面を見ると、知らない番号からのメッセージが届いていた。
「見えてますか?」
送り主には全く心当たりがない。しかし、文章の短さとその奇妙な問いかけが、なぜか心に引っかかった。
「迷惑メッセージかな……。」
最初は気にせず放置した涼太だったが、その日を境に、毎晩同じメッセージが届くようになった。
増えていく違和感
最初の数日は無視していたものの、毎晩同じ時間帯に「見えてますか?」というメッセージが届くことに不気味さを感じ始めた。
「何が見えてるって言うんだよ……。」
ふとした興味が涼太を動かし、送信者に返信を送ることにした。
「誰ですか? 何が見えてるって?」
数秒もしないうちに、返信が返ってきた。
「窓の外を見てみて。」
その言葉を見て涼太は息を飲んだ。ふざけたいたずらかもしれないと思いつつ、ゆっくりとカーテンを開けて窓の外を見た。
しかし、そこには普段と変わらない深夜の静かな街並みが広がっているだけだった。
「……なんなんだ、気味が悪い。」
涼太はその夜、それ以上メッセージを確認せずにスマホを机に放り投げ、寝ることにした。
繰り返される悪夢
翌日からも、知らない番号からのメッセージは続いた。内容は変わらず、毎回「見えてますか?」とだけ書かれていた。
そしてある夜、涼太が寝ていると、スマホが激しく振動して画面が光り続けた。画面には、繰り返し送られる同じメッセージ。
「見えてますか?」
その瞬間、涼太は奇妙な感覚に襲われた。部屋の空気が冷たくなり、背後に視線を感じたのだ。振り向いても誰もいない。しかし、スマホには新たなメッセージが表示されていた。
「すぐ後ろだよ。」
恐怖に駆られた涼太は、慌てて電気をつけて部屋中を確認したが、誰もいなかった。
発信元の謎
翌日、涼太は意を決してその番号について調べることにした。スマホに詳しい友人に頼み、発信元を追跡してもらった結果、驚愕の事実が判明した。
「お前、変なことに巻き込まれてないか?」
友人によると、その番号はすでに数年前に解約されているもので、発信されているはずがないという。
「でも、この番号からメッセージが届いてるんだ!」
焦る涼太に対し、友人は困惑した表情を浮かべるだけだった。
メッセージの意味
その夜も、涼太のスマホにメッセージが届いた。しかし、今回は少し違った。
「やっと気づいてくれたね。」
涼太は恐怖を押し殺しながら返信した。
「お前は誰だ! 何が目的なんだ!」
数秒後、返信が返ってきた。
「君だよ。君が私を見捨てたんだ。」
その言葉を見た瞬間、涼太の頭の中にある記憶がフラッシュバックのように蘇った。数年前、交通事故で命を落とした幼馴染の拓也(たくや)。
最後に拓也から連絡があった夜、涼太は忙しさにかまけて返信をしなかった。その直後、拓也は事故に遭い、二度と連絡が返ってくることはなかった――。
結末
スマホの画面には最後のメッセージが表示されていた。
「見えてますか? 僕のこと。」
その瞬間、涼太は目を上げ、窓の外を見た。そこには、幼馴染の拓也が微笑みながら立っていた――消えそうな光の中で。
涼太は涙を流しながら呟いた。
「見えてるよ……ごめん、拓也……。」
その日を境に、涼太のスマホに「見えてますか?」というメッセージが届くことはなくなった。しかし、時折夜になると、窓の外にぼんやりとした影を感じることがある。
それはきっと、最後の別れを告げにきた拓也なのだろう――。
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