怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

パソコンに映る幼い頃の記憶 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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深夜の作業中

リョウはフリーランスのデザイナーで、深夜までパソコンの前で作業をしていることが多かった。その日も納期に追われ、静まり返った部屋でキーボードを叩いていた。

ふと気づくと、パソコンの画面に違和感を覚えた。作業中のウィンドウの隙間から、何か別の映像がちらついている。

「何だこれ……?」

マルウェアかと思い、すぐにウィンドウを閉じたが、映像は消えない。それどころか画面全体が徐々にその映像に覆われていく。

見知らぬ映像

画面に映し出されたのは、見知らぬ公園だった。薄暗い夕方の風景に、小さな子供がぽつんと立っている。

「この場所……どこだ?」

子供の後ろ姿を見て、リョウは心臓が跳ねるような感覚を覚えた。

「これ……俺?」

子供が振り返ると、それは幼い頃のリョウそのものだった。

忘れていた出来事

映像の中で、幼いリョウは砂場の近くで何かを探しているようだった。手に持った赤いスコップを握りしめ、何かを掘り起こそうとしている。

リョウは次第にその光景を思い出し始めた。

「ああ、あれだ……確か、何か埋まってると思って……でも、あれって何だったんだ?」

忘れていた記憶がじわじわと蘇る。その時の幼いリョウの表情は、不安と期待が入り混じったようだった。

映像の異変

突然、映像の雰囲気が変わった。画面の中で幼いリョウが掘り当てたのは、小さな木箱だった。箱を開けようとした瞬間、背後から黒い影がスッと現れた。

「……誰だ?」

リョウは目を凝らすが、影の輪郭がぼんやりとしており顔は見えない。

画面の中の幼いリョウが振り向くと、影は手を伸ばし、その小さな肩を掴もうとする――その瞬間、映像がぷつりと途切れた。

残されたメッセージ

画面が真っ暗になり、リョウはキーボードを叩いてみたが、何の反応もない。すると突然、画面に白い文字が現れた。

「箱を開けるな」

「箱……?」

リョウの記憶が一気に蘇る。あの日、掘り起こした木箱を怖くなってそのまま埋め直したのだ。その後、箱の存在も含めて記憶の奥に封じ込められていた。

公園に戻る

翌日、リョウは仕事を休み、あの公園を訪れることにした。大人になった今でもその公園は変わらず、砂場もそのままだった。

スコップを手に、子供の頃に掘った場所を思い出しながら砂を掘り返していくと――

「……これだ。」

やがて、小さな木箱が姿を現した。

箱の中身

恐る恐る箱を開けると、中には古びた写真が1枚入っていた。写真にはリョウと見知らぬ少年が写っていた。

「これ……誰だ?」

その少年はリョウと同じくらいの年齢で、どこか影の薄い表情をしている。背後には公園の砂場が写り込んでおり、写真の隅には黒い影がぼんやりと映っていた。

映像の続き

家に帰り、再びパソコンの画面を確認すると、止まっていた映像が再び動き出した。

今度は、箱を埋め直している幼いリョウが映っている。映像の中で、黒い影が再び現れ、幼いリョウをじっと見つめている。

そして最後に画面にこう表示された。

「また戻ってくる」

消えない恐怖

その後、パソコンは正常に戻ったが、リョウの心は不安でいっぱいだった。

「あの黒い影は一体何だったのか?そして、もう一度戻ってくるとはどういう意味なのか?」

あの日の記憶と共に、リョウの中には終わらない恐怖が残り続けた――。



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