目次
【プロローグ】
IT企業で働く達也は、ある日いつものように自宅でパソコン作業をしていた。何気なくウェブブラウザを開こうとした瞬間、画面が突然暗転し、見知らぬ映像が再生され始めた。
「なんだこれ…ウイルスか?」
最初はそう思ったが、映像に映っていたのは、自分の知人の顔だった。それは、高校時代の友人・祐一だった。
しかし、祐一の表情は怯え切っており、暗い場所で何かに向かって助けを求めているようだった。
「ここ…どこだ?」
画面の中で彼がいる場所は、どこか見覚えがある。ふと気づいた時、達也は凍りついた。それは、自分の家の地下室だった。
【映像の謎】
達也の家には確かに地下室があった。しかし、それは物置として使われ、何年も誰も入っていないはずだ。
「なんで祐一が…?」
さらに映像が進むと、そこに達也の家族――父、母、そして妹の姿が映っていた。彼らは地下室に出入りし、何かを運んでいるようだったが、その内容は映像には映らない。
「どういうことだ…?」
祐一は、高校時代に突然連絡が取れなくなり、以来行方不明になっていた。その失踪と自分の家族が関係しているのかもしれないという不安が達也の胸を締め付けた。
【地下室への調査】
真相を確かめるため、達也は深夜に地下室に向かった。懐中電灯を手に、久しく開けていなかった重い扉を押し開けると、ひんやりとした空気が顔に当たった。
地下室の中は、埃っぽい匂いが充満しているだけで、特に異常は見当たらない。壁には古びた棚と工具箱があるだけだ。
「何もないじゃないか…」
そう呟いた瞬間、パソコンの中で見た祐一の声が耳元で響いたような気がした。
「助けて…」
達也は背筋に寒気を覚え、慌てて地下室を後にした。
【家族の奇妙な態度】
翌朝、達也は家族にそれとなく地下室のことを話した。
「最近、地下室を使ったりしてる?」
しかし、家族は顔を見合わせ、妙な沈黙が流れた後、母が答えた。
「地下室なんて使ってないわよ。」
その言葉はどこかぎこちなく、他の家族も目を合わせようとしない。
「なんだ、この空気…?」
達也はますます不信感を募らせた。
【衝撃的な映像】
その夜、パソコンを開くと再び映像が再生された。今度の映像には、さらに詳細な内容が映し出されていた。
祐一が地下室で縛られ、泣き叫びながら助けを求めている場面。そして、達也の父がその前に立ちはだかり、何かを手に持っている。
「何してるんだ…!?どういうことだよ!」
達也は震えながら画面を凝視した。次の瞬間、画面には祐一が倒れる様子が映し出され、その場面で映像は途切れた。
【父との対決】
翌日、達也は帰宅するなり父に問い詰めた。
「祐一が失踪したのって、地下室と関係あるんだろ?あの映像に映ってたの、父さんだよな!」
父は最初こそ驚いた表情を見せたが、すぐに険しい顔つきに変わった。
「…お前、何を知ってる?」
その問いかけに達也は激怒し、さらに追及した。すると、父は重い口を開いた。
「あの時、祐一が勝手に家に入り込んで、地下室を荒らしてたんだ。俺はただ…」
父の言葉は濁り、真実を語っているようには見えなかった。
【真相】
達也は家中を徹底的に調べることにした。そして、地下室の棚を動かしてみると、壁の裏に隠された小さな空間を見つけた。
その中には、祐一のものと思われる古いリュックと、血の跡が付いた金属の棒が置かれていた。
「なんだよ、これ…父さん…母さん…!」
家族は最終的に口を割り、祐一の失踪についてこう語った。
「あの日、祐一が家に来たのは確かだ。でも、彼が勝手に地下室に入って…そこで事故が起きたんだ。」
事故だったと繰り返す家族の言葉に、達也は激しい違和感を覚えた。
【エピローグ】
その後、達也は家族との関係を断ち、家を出ることにした。しかし、パソコンには今でも時折映像が映るという。
映像の中で祐一は同じ言葉を繰り返している。
「助けて…」
家族の誰が真実を語っているのか、あるいは何かを隠しているのか――それは今でも分からないままだ。
もしあなたのパソコンに見知らぬ映像が流れたら、それはあなたが知るべき真実を告げているのかもしれません。
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