目次
プロローグ
夜の静けさが心地よく、いつものように自室でパソコンに向かっていた隆司(たかし)。ネットサーフィンやSNSのチェックが終わり、ふと手を止めてコーヒーを一口飲んだときだった。
モニターの画面が一瞬ちらつき、奇妙な映像が現れた。
映像の始まり
最初は、映像の内容がよく分からなかった。荒れた砂利道のようなものが、固定カメラでぼんやりと映し出されているだけだった。画質は粗く、白黒の映像だ。
「なんだ、これ……?」
隆司は何かの広告か、あるいはウイルスが勝手に再生しているのかと思い、ウィンドウを閉じようとした。しかし、どんな操作をしても映像は消えない。それどころか、音声も出ていないはずなのに、画面から静かな砂利を踏む足音が聞こえてくるような気がした。
映像の異変
次第に、映像に変化が現れた。砂利道の奥にある薄暗い森の中から、誰かが歩いてくる気配がしたのだ。
画面の中で動く影――それは、人影のように見えたが、異様に背が高く、四肢が細長かった。その「何か」はゆっくりとこちらに近づいてきた。
「……なんだこれ……?」
隆司は目を逸らしたかったが、不思議と目が離せなかった。画面の中の影は、カメラの位置を正確に把握しているかのように、まっすぐこちらを見つめているようだった。
さらに近づく影
その影が、とうとうカメラの正面に立った。だが、顔はよく見えない。まるで画面のノイズに紛れるようにして、曖昧な形でしか映らなかった。
その代わり、隆司の耳にははっきりと何かの声が聞こえた。それは言葉ではなく、低いうなり声や囁き声が混じった奇妙な音の連続だった。
音量は次第に大きくなり、部屋全体に響いているような感覚を覚えた。
「やめろ……なんなんだこれ……!」
隆司は必死にパソコンの電源を切ろうとした。しかし、ボタンを押しても何も反応しない。画面の中の影は、じっとカメラを見つめ続けている。
映像のクライマックス
突然、映像が切り替わった。
そこに映っていたのは、隆司自身の部屋だった。今、彼が座っているデスク、その後ろの窓、積み上げられた本――全てがリアルタイムで映し出されている。
「なんで俺の部屋が……?」
隆司は後ろを振り返った。しかし、部屋には誰もいない。それなのに、画面には「それ」が映っていた。
デスクの背後に立つ影。異様に背が高く、四肢が細長い。画面の中のそれは、ゆっくりと頭を傾けながら、隆司を見下ろしている。
結末
その瞬間、画面が真っ暗になり、部屋は静寂に包まれた。
隆司は恐怖で動けずにいたが、しばらくして意を決して後ろを振り返った。そこには何もなかった。ただ、画面の中で見た影の気配だけが、未だに背中に貼り付いているような気がしてならなかった。
その夜、隆司はパソコンを閉じたまま、決して触れなかったという――。
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