古本屋に立ち寄ったのは、偶然だった。
その日、駅からの帰り道にふと目についた「古書店」という看板。何度も通り過ぎていたはずなのに、なぜかその日は気になって店の中へ入った。
小さな店内には、ところ狭しと古い本が並び、どこか懐かしい紙の匂いが漂っていた。
「何か掘り出し物があるかな。」
特に目的もないまま、ふらりと本棚を眺めていた時、一冊の古い装丁の本に目が留まった。
タイトルは聞いたことがないものだったが、手触りといい、重厚感といい、心惹かれるものがあった。
目次
古い写真の発見
家に帰り、買ってきた本を開いてみた。
パラパラとページをめくる途中で、何かがひらりと落ちた。
「……写真?」
拾い上げてみると、それはセピア色に色あせた一枚の写真だった。
写っているのは、古い木造の家と、その前で並ぶ数人の家族。
「この家……見たことがある。」
じっと写真を見つめているうちに、胸がざわついた。
家の中央に立つ年配の男性。その隣には笑顔の女性。そして、小さな子供たち。
「これ……うちの家族だ!」
驚きで手が震えた。写真に写っていたのは、間違いなく幼い頃の僕と家族だった。
祖父の愛読書
その写真を見ていると、祖父の顔が浮かんだ。
「あれ、この本……」
記憶の奥底から、ある光景が蘇る。
幼い頃、祖父の部屋には大きな本棚があった。祖父は本が大好きで、僕にとってはちょっと難しい内容の本をよく読んでいた。
その中の一冊が、この本だったはずだ。
そういえば、祖父が亡くなった後、部屋にあった本は処分されてしまったと聞いていた。
奇跡の再会
数十年を経て、祖父が大切にしていた本が、古書店を通じて僕の手元に戻ってきた。
しかも、家族の写真まで挟まれたまま――まるでこの本自体が家族の記憶を伝えに帰ってきたようだった。
「おじいちゃん、ありがとう。」
写真を手に取りながら、自然と感謝の気持ちが湧いてきた。
家族のつながり
その後、写真を両親に見せると、驚きとともに懐かしそうに話をしてくれた。
「そういえば、おじいちゃん、この本をすごく大事にしてたわね。」
「処分してしまったはずのものが戻ってくるなんて、不思議なこともあるものね。」
家族の中で、祖父の話をする機会が増えた。そして、あの本は今も僕の本棚に収められている。
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