僕が住んでいる町には、小学校から少し離れたところに「廃道」と呼ばれる道がある。
大人たちは「通っちゃいけない」と言うけれど、具体的な理由を教えてくれる人はいない。
その廃道は、昔の車道だったらしいけど、今では草が生い茂り、ところどころアスファルトが剥がれている。子供たちの間では「幽霊が出る道」や「通ると帰れなくなる道」なんて噂されていた。
僕もその廃道を避けていたけれど、ある日、クラスメイトのケンジが「探検してみよう」と誘ってきた。
目次
廃道への探検
放課後、ケンジと二人で学校を抜け出し、廃道の入り口に立った。
「大丈夫だって。ちょっと行くだけだろ?」
ケンジは笑っていたけど、僕は心の中でビクビクしていた。
道は思ったよりも荒れていて、途中で何度か足を滑らせた。だんだんと木々が茂り、日差しが遮られて薄暗くなってきた。
「これ以上進むのはやめようよ……」
僕が言うと、ケンジは「もう少しだけだ」と先に進んでいった。
廃道の終わり
しばらく歩くと、道の先が開けているのが見えた。
「ほら、出口だ!」
ケンジが声を上げ、僕たちは廃道を抜けた。
でも、その先に広がっていたのは、僕たちが知っている世界とは違った。
奇妙な世界
目の前には見たこともない建物が並んでいた。
家はどれも歪んでいて、色も妙にくすんでいる。空を見上げると、太陽は薄紫色の光を放っていた。
「何だこれ……」
ケンジも呆然としていた。道には誰もいない。だけど、どこからか小さな笑い声が聞こえてきた。
不気味な出会い
「誰かいるの?」
僕が声を上げると、建物の影から人影が現れた。
それは子供くらいの背丈だけど、顔が異様に長く、目が黒くて光っていた。
「ようこそ……」
低い声でそう言われた瞬間、全身に寒気が走った。
ケンジは何も言わず、その場で走り出した。僕も慌てて後を追った。
戻れない出口
廃道の入り口に戻ろうとしたけど、道が変わっていた。
さっきまで一本道だったはずなのに、木々が道を覆って迷路のようになっている。
「どうなってるんだよ……!」
ケンジが叫んだ時、再びあの笑い声が聞こえた。振り返ると、影がいくつもこちらに近づいてきている。
僕たちは必死で走り続けた。
なんとか帰れたけれど
どうにか廃道の出口にたどり着いた時、辺りはすでに真っ暗になっていた。
「帰れた……?」
僕たちは無言のまま、それぞれの家に帰った。
翌日、学校でケンジに会おうと思ったけど、彼は来なかった。先生は「体調が悪いらしい」と言ったけど、なんだか不安だった。
僕はその日から廃道には近づかないようにしている。
奇妙な痕跡
その後、結局ケンジは本当に体調不良なだけだった。
しばらくして、廃道は封鎖された。大人たちは何も言わないけど、僕はあの日見た世界が夢や幻ではないことを知っている。
あの場所には、何かがある――そして、それは決して僕たちが踏み入れてはいけないものだったのだろう。
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