いつもの喫茶店で、私とリョウはアキラの話を楽しみにしていた。彼が語る話は、どこか現実味がありながら、奇妙で得体の知れないものばかりだ。今日の話もまた、そんな不気味さが漂っていた。
アキラはコーヒーを一口飲んでから、低い声で話を始めた。
「今回の話は、ある新しくできた公園にまつわる話だ。その公園は、完成したばかりの時は地元の人たちが喜んで使っていたんだが、いつの間にか誰も近寄らなくなったらしい。最初は『あそこには何かいる』という住民たちの噂話だった。」
リョウが身を乗り出した。「何かって…幽霊みたいなものか?」
「それが、具体的に何かは誰もわからなかった。俺がその話を聞いた時点では、『公園に行くと嫌な気配がする』とか、『奇妙な現象が起きる』という曖昧な噂が広がっていた。だから、実際に足を運んでみることにしたんだ。」
私とリョウはその時点で緊張が高まった。
「その公園は、住宅街の一角にある、普通の広場のような場所だった。ベンチや遊具が整備されていて、一見するとどこにでもある新しい公園だ。でも、近づくにつれて、何かがおかしいと気づいた。」
アキラはその時の光景を思い出しながら語った。
「まず、静かすぎるんだ。公園って普通、鳥のさえずりや子どもの声が聞こえるだろう?でも、そこはまるで音が吸い込まれているみたいに無音だった。そして、公園内に入ると、草木が枯れかけていて、生気がない感じがした。」
「草木が枯れてたのか?」リョウが驚いた声を上げる。
「ああ。新しく植えられたはずの木や芝生が、どれも色あせていて、まるで何年も放置されたような雰囲気だった。それだけでも異様だったが、公園の中心に立った時、さらに奇妙なことに気づいた。」
「何があったんだ?」私は思わず聞いた。
「公園全体が、微かに震えているような感覚があったんだ。実際には地震なんて起きていなかったが、足元から伝わるかすかな振動が止まらなかった。それに加えて、妙な圧迫感を感じたんだ。空気が重くて、呼吸がしづらいような感覚があった。」
アキラは少し間を置き、静かに話を続けた。
「さらに、公園の隅に目をやると、古びた石碑が置かれていたんだ。新しい公園なのに、その石碑だけは異様に古く、汚れていた。文字が掘られていたが、風化が進んでいて、何が書かれているのか読めなかった。ただ、石碑の周りだけ、なぜか草木が完全に枯れていて、土がむき出しになっていた。」
「それって…呪われた場所みたいな感じか?」リョウが小声で尋ねた。
「そう思った。俺の感覚では、その公園が新しく作られる前、その土地には何かがあったんだ。それを無視して公園を作った結果、その何かが表に出てきてしまったんだろう。」
「それで、どうしたんだ?」私は次の展開が気になった。
「俺は知り合いの住職に相談し、その土地の浄化を試みることにした。ただし、あくまで公園全体を対象にするのではなく、まずは石碑周辺だけを重点的に調べてもらったんだ。すると、その石碑は明らかに土地を封印するためのものであることがわかった。」
「結局、住職の協力を得て石碑を適切に祀り直すことで、公園全体の気配が和らいだ。それ以来、奇妙な現象は報告されなくなり、住民たちも少しずつ公園に戻ってきた。だが、その石碑が元々何を封じていたのか、それだけはわからずじまいだ。」
アキラは話を締めくくった。
「世の中には、こういう見えない力が働く場所がある。人間の都合だけで土地を変えると、時にその土地に眠る何かが目を覚ますんだ。それが今回の公園の例だよ。」
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