目次
プロローグ
これは、誰にも話したことがない、不思議な体験の話だ。
夢だったのか、現実だったのか――。私自身、どちらとも言い切れないが、確かにあの時、私の目には「富士山」が消えていた。
第一章:いつもの風景
私は住宅街の高台に住んでいる。家からは山々が見え、その向こうに富士山の頭だけが見えるのが日課だった。
毎朝、出勤前に一瞬だけ富士山を眺めるのが小さな楽しみだった。日本一の山が日常の中にあることが、心の安らぎを与えてくれる気がしていた。
しかし、ある日を境にその日常が崩れた。
第二章:富士山が見えない日
その日は曇り空だった。富士山が見えないのは珍しいことではない。雲が多い日や、朝靄の中ではよく見えなくなることがあるからだ。
「今日は見えないな。」
そう思い、その日は特に気にも留めずに仕事に向かった。しかし、次の日も、その次の日も富士山は見えなかった。
3日目の朝、晴天の空が広がっていた。
「今日はさすがに見えるだろう。」
しかし、富士山はどこにもなかった。
第三章:ネットでの調査
おかしいと思い、私はスマホで富士山について検索した。しかし、どれだけ調べても富士山に関する情報は出てこない。代わりに「日本一の山」として出てきたのは、聞いたこともないカタカナの名前の山だった。
その名前を今はどうしても思い出せないが、当時は確かに「富士山」の存在を否定するかのように、全ての情報がその山で埋め尽くされていた。
「そんな馬鹿な……。」
家族や職場の同僚にも聞いてみたが、返ってきたのは驚くべき答えだった。
「富士山? そんな山聞いたことないよ。」
まるで富士山という山が、この世界から初めから存在しなかったかのような反応だった。
第四章:消えた富士山の1週間
その状況は1週間ほど続いた。毎朝、富士山があったはずの場所を眺めるが、そこにはただの山々しか広がっていなかった。
「これは一体どういうことなんだ……。」
私は次第に不安を感じるようになった。この奇妙な現象を誰にも説明できず、自分が狂ってしまったのではないかという恐怖さえ覚えた。
しかし、8日目の朝、いつも通り家を出て外を眺めると――そこには見慣れた富士山がそびえ立っていた。
第五章:戻った日常
富士山が戻ったその日、私は急いでネットで再び検索をかけた。すると、富士山に関する記事が次々と表示された。
家族に確認すると、全員が「富士山が日本一の山である」という当たり前の反応を示した。同僚も同様だった。
「先週、富士山が消えてたなんて、どうかしてるよ。」
誰も信じてくれなかったが、私の中ではあの1週間の出来事が現実だったという確信がある。
結末:謎は残ったまま
富士山が消えていた1週間が何だったのか、私には今も分からない。
あの1週間は夢だったのだろうか? それとも、私だけが異なる「何か」を体験したのだろうか?
ただ、あの出来事以来、私は毎朝富士山を見るたびに、その存在のありがたさを感じるようになった。
いつもの風景が「いつも通り」であることが、これほどまでに尊いものだとは、あの1週間が教えてくれた気がする。
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