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返信してはいけない「迷惑メール」 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ

迷惑メールなんて日常茶飯事だ。広告、詐欺、スパムメッセージ――ほとんどが無視すべきものだと分かっている。

しかし、ある日届いたメールは、それとは一線を画していた。何気なく返信してしまったことが、私の平穏をじわじわと壊していったのだ。

第一章:奇妙なメール

それは、何の変哲もない昼下がりだった。

スマホの通知を確認すると、見知らぬアドレスからメールが届いていた。迷惑メールフォルダに振り分けられず、通常の受信ボックスに入っていたのが少し気になった。

件名はシンプルに「助けて」

本文を開くと、たった一行だけ書かれていた。

「私を探してください。」

送信者の名前も見覚えがなく、本文にURLや広告の類もない。ただ、その短い言葉だけが残されていた。

「なんだこれ……?」

明らかにスパムだと思ったが、どこか引っかかるものを感じた。

第二章:興味本位の返信

最初は無視しようと思った。しかし、何度もスマホの画面を見返すうちに、「返信してみたら何か分かるかも」と興味が湧いてきた。

「大丈夫ですか?」

軽い気持ちで一行だけ返信した。その瞬間、私は取り返しのつかない一歩を踏み出してしまったのだ。

第三章:返事が届く

数時間後、送信者から返事が届いた。

「分かってくれる人がいてよかった。私を探してください。ヒントは○○市の旧図書館です。」

その地名は、私の住む県の隣にある町の名前だった。偶然の一致だろうが、一気に現実味を帯びて不安が広がった。

「これ、本当に迷惑メールか……?」

疑問に駆られながらも、返信を続けるのは怖くなり、私はそのままメールを削除した。

第四章:次々と届くメール

次の日も、さらに次の日も、同じアドレスからメールが届き始めた。

「なぜ返信をくれないのですか?」
「あなたなら私を見つけてくれると思ったのに。」
「私を放っておくんですか?」

一通一通の文面は短いが、どれも妙に感情的で、責められているように感じた。

怖くなった私は、ついにメールアドレスをブロックすることにした。これで終わる――そう信じた。

第五章:ブロックの無効化

しかし、メールは別のアドレスから再び届き始めた。

「逃げないでください。」
「私を見つけてください。」

今度は添付ファイルが付いていた。開くつもりはなかったが、誤ってタップしてしまい、写真が表示された。

それは古びた図書館の外観だった。

「……嘘だろ。」

偶然の一致と思いたかったが、前のメールにあった「○○市の旧図書館」というヒントと完全に一致している。

第六章:何もしない恐怖

それ以来、私はそのメールを一切開かなくなった。しかし、通知が届くたびに背筋が凍る。

件名には短いメッセージが表示されている。

「すぐそこにいます。」
「気づいてくれましたか?」
「どうしてここに来ないのですか?」

無視を続けていると、ある日、メールの件名に私の名前が書かれているのを見つけた。

「○○さん、お願いします。」

私はパニックに陥った。なぜ私の名前を知っているのか? どうやって?

結末:止まらない通知

今も、メールは届き続けている。

私はメールアカウントを変えることを検討しているが、怖くて動けない。アカウントを変えたとしても、また新しいアドレスに届くのではないかという恐怖があるからだ。

なぜあの時、返信してしまったのだろうか。

それが、今の私にとって最大の後悔だ――。



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