これは、私が数年前に経験した奇妙で不思議な話です。信じるか信じないかはあなた次第ですが、今でもその出来事を思い出すたび、背筋がぞくりとするのです。
目次
何気なく入った占いの館
その日、私は友人と買い物に出かけていました。普段はあまり占いには興味がないのですが、商店街の端にひっそりと佇む「スピリチュアル占いの館」という看板が、なぜか私を引きつけました。小さな古びた建物で、入り口には「占い師・ミヨ」と書かれた手書きの看板が置かれていました。
「せっかくだし、ちょっと見てもらおうかな…。」
友人にそう言い残し、私は占いの館に足を踏み入れました。
中は薄暗く、香木のような独特の匂いが漂っていました。カーテンの奥から現れたのは、年齢不詳の女性。長い髪に大きな瞳、どこか遠くを見つめるような目つきをしていました。
「あなた、来るべくして来たわね。」
いきなりそう言われ、ドキリとしました。
“あなたの役割”とは?
占い師・ミヨさんは、机に水晶玉を置き、私の顔をじっと見つめながらこう言いました。
「あなたには、他の人には見えないものが見える。そうでしょう?」
「え?」
私は思わず聞き返しました。確かに昔から、ふとした瞬間に“人影のようなもの”や“何かの気配”を感じることがありました。しかし、それを誰にも話したことはありませんでした。
「見えることを怖がらないで。あなたは渡し人なのよ。」
「渡し人…?」
「迷った魂を導く役割があるの。普通の人にはできないことだから、あなたは選ばれたの。」
その言葉を聞いても、最初はただの占いだと思いました。スピリチュアルなことを語られても、どこか現実味がありませんでした。しかし、彼女は続けてこう言いました。
「今夜、気配を感じたら恐れずに話しかけなさい。きっと分かるはずよ。」
その夜の出来事
家に帰り、その占いのことも忘れかけていた夜。部屋で本を読んでいると、ふと背後に視線を感じました。
「……誰かいる?」
もちろん、部屋には誰もいません。それでも視線の感覚が消えず、私は占い師の言葉を思い出しました。
「気配を感じたら話しかけなさい。」
半信半疑で、小さな声で言いました。
「誰か、いるの?」
その瞬間、部屋の空気がひやりと冷たくなりました。窓は閉めているのに、風が吹いたようにカーテンが揺れたのです。すると、耳元でかすかに声が聞こえました。
「……帰れない……。」
一瞬、心臓が止まりそうになりました。でも、不思議と怖くはありませんでした。私は勇気を出して、もう一度尋ねました。
「どうして帰れないの?どこに行きたいの?」
すると、声は小さく震えながら答えました。
「道が…分からないの……。」
その声が、まるで迷子の子供のように聞こえて、私はふと理解しました。占い師が言った“迷った魂”が、この声なのだと。
導くということ
それから私は心の中で「大丈夫。あなたが帰れる場所に行けますように」と強く念じました。すると、部屋の冷たさがふっと消え、何事もなかったかのような静けさが戻ってきました。
その日以来、あの声が聞こえることはなくなりました。しかし、私は確かにあの瞬間、「誰かを導いた」のだと感じました。
占い師の言葉の意味
後日、もう一度「スピリチュアル占いの館」を訪ねました。しかし、そこにはすでに占い師ミヨさんの姿はなく、「この店はしばらく前に閉店しましたよ」と隣の店の人が教えてくれました。
あの日、私に言葉を残してくれた彼女は一体何者だったのか。そして、「渡し人」とは何だったのか。
今でも私は、ふとした瞬間に気配を感じることがあります。でも、もう怖くはありません。もしかしたら、それは「帰り道を探している誰か」なのかもしれないからです。
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