目次
きっかけは“聞こえた気がする声”
それは私が仕事でミスを重ね、心身ともに疲れていた頃のことだ。週末の夕方、何となく気分転換がしたくて近所を散歩していた。
自宅から少し離れた川沿いの道を歩いていると、不意に「こっちだよ」という声が耳に届いた気がした。
「ん?……誰だ?」
周囲には誰もいない。すぐ後ろを振り返っても、そこには夕日を反射する静かな川の水面だけ。気のせいだと思い、そのまま歩き続けたが、どこか心に引っかかる。
道を外れた先の“道”
それから数日、仕事帰りの夜にまたあの川沿いを歩くことにした。
すると今度は、前方に見慣れない細い脇道が現れた。
「こんな道あったっけ?」
気になって足を踏み入れてみると、そこは街灯もない暗い道。しかし、不思議と怖さはなく、どこか温かい感じがする。
道は狭く、少しずつ上り坂になっている。遠くで風が木々を揺らす音や、小さな虫の声だけが響く。進むうちに、ふと気づく――何かに“導かれている”ような感覚だ。
不思議な空間
しばらく歩くと、道の先には小さな広場のような場所が広がっていた。真ん中には古びた石のベンチと、大きな木が一本立っている。
「なんだここ……?」
広場には他に誰もおらず、空には満天の星が広がっている。街の光も音も届かない、まるで異世界のような静けさだった。
ベンチに腰を下ろし、ぼんやりと空を眺めていると、どこか懐かしい気持ちに包まれた。
声の正体
その時、再びあの声が聞こえた。
「疲れたんだね。少し休んでいきなさい。」
今度ははっきりと聞こえた。声の主は見当たらないのに、不思議と安心感が湧いてくる。
「……ありがとう。」
そう呟くと、まるで返事をするかのように風がそっと吹き抜けた。
どれくらいそこに座っていたのか分からないが、広場にいるだけで心が軽くなっていくのがわかった。
戻っても残る不思議な記憶
家に帰ってから、あの広場について調べてみたが、地図にもネットにもそんな場所は載っていなかった。
「見間違いか、夢でも見てたのか?」
そう思いながらも、不思議なことに、それ以来、仕事で感じていた心の重さが軽くなっていった。そして、何かに迷う時や疲れた時、不意にあの声が心の中に響くことがある。
「大丈夫。こっちだよ。」
スピリチュアルな道
今でも時々、あの道を探しに川沿いを歩くことがある。しかし、あの細い脇道は二度と見つからない。
ただ、ひとつ確信しているのは、あの道は私を救うために現れた“スピリチュアルな場所”だったのだろうということだ。
もし、あなたが疲れ切った時にふと「こっちだよ」という声を聞いたら、迷わずその道を進んでみてほしい。きっと、心が軽くなる何かが待っている――。
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