ある日突然、不思議なアイテムを手に入れたら――そんな出来事が私にも起こりました。それは、あまりに奇妙で、そして少しだけ切ない体験です。
目次
出会いは古びた骨董店
その日、私は仕事帰りにふらりと立ち寄った路地裏の骨董店で、それを見つけました。店内は薄暗く、埃っぽい空気が漂う中、ガラスケースの中にひっそりと佇む小さなガラスの小瓶が目に留まったのです。
「気に入ったのかい?」
突然、店主の老人が声をかけてきました。驚きながらも、なぜかその小瓶に強く惹かれている自分がいました。値段は驚くほど安く、まるで「持って行ってくれ」と言わんばかりの価格でした。
「それ、面白いものだよ。大切に使うんだな。」
店主の言葉に少し違和感を覚えましたが、結局私はその小瓶を購入し、家に持ち帰ることにしました。
小瓶の力
家に帰って改めて小瓶を眺めると、それは透き通ったガラス製で、淡い青色が美しく光を反射していました。何の変哲もないように見えましたが、中に少しだけ白い霧のようなものが漂っていました。
その夜、寝る前にふと小瓶を手に取り、何気なく「明日、仕事がうまくいけばいいな」と呟きました。
翌日――。驚いたことに、私は何事もなく仕事を終え、苦手な上司から褒められるというあり得ない出来事が起きたのです。普段の私には考えられないほどスムーズな1日でした。
「まさか…」
その日から、私は小瓶に願い事をするようになりました。
願いが叶う日々
小瓶は不思議な力を持っていました。例えば、「明日は天気が良くなりますように」と願えば、雨予報が一転して快晴になり、「大事な会議で成功しますように」と願えば、予想以上の成果が出ました。
ただ、一つだけ気がかりなことがありました。願いをかけるたびに、小瓶の中の白い霧が少しずつ減っていくのです。それでも、その力に魅了された私は、「まだ大丈夫だろう」と自分に言い聞かせ、毎日のように小瓶に願いをかけ続けました。
小瓶の異変
ある日、友人と出かける約束をしていた日、私はつい「今日は楽しい1日になりますように」と小瓶に願いました。しかし、その瞬間、小瓶がいつもと違う音を立てたのです。
「カタッ…」
不安を感じながらも、その日はいつも通り願いは叶い、友人と楽しい時間を過ごすことができました。しかし、帰宅して小瓶を見てみると、内部の白い霧はほとんど消えかけ、瓶の中には細かなヒビが入っていました。
「…壊れかけてる?」
慌てて触ろうとすると、小瓶が微かに震え、まるで何かが私を拒んでいるかのようでした。
最後の瞬間
次の日、何も願わずに過ごそうと決めていたのに、仕事で大きなミスをしてしまい、パニックになった私は、思わず小瓶を手に取って叫んでしまいました。
「お願い!今日だけ、今日だけ助けて!」
その瞬間――。
「パリンッ!」
という音と共に、小瓶は私の手の中で粉々に砕け散りました。淡い青い光が一瞬だけ部屋を照らし、次の瞬間には何事もなかったかのように静寂が戻りました。砕けたガラス片の間には、もう白い霧の欠片すら残っていませんでした。
小瓶が残したもの
その後、私の生活は元通りになりました。小瓶の力に頼らなくなった私は、物事がうまくいかない日々に苦しむこともありましたが、不思議と以前よりも前向きに頑張れるようになっていました。
あの小瓶は、きっと私に「努力することの大切さ」を教えてくれたのかもしれません。
あれから何度もあの骨董店に足を運びましたが、店自体が見つかりません。まるで最初から存在していなかったかのように、跡形もなく消えてしまっていました。
あの小瓶は何だったのか、なぜ私の手元にやってきたのか――今でも分かりません。しかし、一つだけ確かなことは、大切なものほど、頼りすぎてはいけないということです。
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