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夢が救った“命の分かれ道”の話 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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忘れられないあの夢

今から数年前のことです。私は一度だけ、自分の命を分ける選択をした経験があります。

その時のことを思い出すと、今でも不思議な気持ちになります。なぜなら、私はその正しい選択を“夢”によって知ることができたからです。

その夢を見たのは、特に何の変哲もない夜でした。

夢の中の奇妙な出来事

夢の中で私は、見知らぬ山道を歩いていました。両側には鬱蒼と茂る木々、足元は細い道が続いています。

やがて道が二手に分かれました。片方は明るく開けた道、もう片方は薄暗く、どこに繋がっているのか分からない不気味な道でした。

私は迷っていました。どちらの道を選べば良いのか分からず、立ち尽くしていたその時――後ろから声が聞こえたのです。

「右を選んではいけない。左を行きなさい。」

振り返っても誰もいません。それでも、なぜかその声を信じ、私は左の道を進みました。

夢の予感

目が覚めた時、夢の内容は妙に鮮明に記憶に残っていました。ただの夢だと思いながらも、あの声が妙にリアルで心に引っかかっていました。

「まあ、現実には関係ない話だろう。」

そう思い、その夢のことはすぐに忘れてしまいました。

運命の瞬間

それから1週間後、私は友人とドライブに出かけました。田舎道を走り抜け、夜の山間部に差し掛かった時、急に激しい雨が降り始めたのです。

「これ、ヤバいな。どこかで雨宿りしよう。」

そう話しながら、友人が道の先に分岐点を見つけました。

片方は舗装された広い道、もう片方は細い林道。

友人は広い道を選ぼうとしましたが、その瞬間、私は夢のことを思い出しました。

「右を選んではいけない。左を行きなさい。」

心臓が一瞬、凍りついたような感覚でした。

「左にしよう。」

友人にそう伝えると、「こっちの方が遠回りじゃない?」と不思議そうな顔をされましたが、私はなぜか譲れませんでした。

正しい選択だった

その夜、自宅に戻りニュースを見ていると、驚きの情報が流れてきました。

私たちが通った分岐点の右側の道――あの舗装された広い道で、土砂崩れが発生していたのです。しかも、その時間帯に通った車が巻き込まれ、大事故になっていました。

「夢の通り……。」

あの夢で見た分岐点は、まさに現実の分岐点そのものでした。夢の中で選んだ左の道を信じていなければ、今ここに自分がいる保証はなかったでしょう。

その後の人生

それ以来、私はあのような“予知のような夢”を見ることはありません。ただ、あの時の選択が命を救ったという事実は、今でも私の心に深く刻まれています。

「夢なんてただの幻想だ」と思う人もいるでしょう。でも、あの時の私にとって、それは確かな現実を変える力を持っていました。



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