「運命の選択」と言うとドラマのように聞こえるかもしれないが、私にとってそれは現実だった。
一度だけ、命を左右する選択を迫られたことがある。そして、それを教えてくれたのは、“ある夢” だった。
それ以来、二度と同じような夢を見ることはない――まるであの日だけが特別だったかのように。
目次
奇妙な夢
その夢を見たのは、もう10年ほど前、大学生の頃だ。
夢の中、私は山道を歩いていた。夕暮れ時で薄暗く、周囲には誰もいない。
目の前に分かれ道が現れた。右に行くとトンネル、左は細い林道だった。
何故か右のトンネルには強烈な「嫌な気配」が漂っていた。
そして、夢の中の私は不安になりながらも左の林道へ進む――その瞬間、トンネルの方から大きな轟音が聞こえた。
振り返ると、トンネルの入り口が崩れていた。
「右へ進んでいたら、どうなっていたんだろう?」とゾッとする感覚が夢の中で残った。
現実での分かれ道
その夢を見た数日後、私は大学の友人と山間の温泉地へ旅行に出かけた。
その帰り道、車で山を下る途中に道が分かれている場所に差し掛かった。
案内板には「右:トンネル経由」「左:旧道 林道」と書かれている。
その瞬間、私は夢の光景がフラッシュバックした。
右のトンネル――あの夢で強烈な不安を覚えた場所だ。
友人は「トンネルの方が近道だから右にしよう」と言ったが、私は強引に止めた。
「いや、左の林道にしよう。なんか嫌な感じがする。」
崩れたトンネル
林道は細く、少し遠回りだったが、無事に通り抜けることができた。
しかし、下山して街に入るとニュースが目に飛び込んできた。
「山道のトンネルが崩落――車両数台が巻き込まれる事故」
それは、私たちが選ばなかった「右の道」だった。
友人と顔を見合わせ、言葉を失った。
「……お前、なんで左にしようって言ったんだ?」
「あのトンネル、なんか怖かったんだよな。」
本当は夢で見たことを話すべきだったかもしれない。でも、あの時は何も言えなかった。
あれ以来、同じ夢は見ない
その日以来、私は同じような夢を見ることはない。
「あの夢は一体何だったのか?」
偶然だと言えばそれまでだ。でも、私にはどうしても偶然とは思えない。
何かがあの時、私に「命の選択」を示してくれた――そんな気がしてならないのだ。
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