目次
プロローグ
古いものには「何か」が宿ることがある。そんな話を聞いたことはないだろうか。
これは、私が体験した、古い家で見つけた日本人形にまつわる話だ。
第一章:引っ越し先の古い家
数年前、私は転職を機に、郊外の古い一軒家に引っ越した。家賃が安かったこともあり、築年数が古いことに対して特に気にはしなかった。
引っ越し初日、家の掃除をしていると、押し入れの奥に何かがあるのを見つけた。
「……なんだ、これ?」
埃をかぶった桐の箱。古びた見た目が、どこか不気味だった。興味本位で蓋を開けると、中には日本人形が収められていた。
髪の毛は黒く艶やかで、着物も鮮やかな赤色。しかし、その表情は妙に無機質で、じっとこちらを見つめているようだった。
「……なんでこんなものが?」
不気味さを感じつつも、そのまま元の押し入れに戻し、気にしないことにした。
第二章:違和感の始まり
それから数日後、家の中で小さな違和感を覚えるようになった。
最初は些細なことだった。リビングの照明がチカチカと点滅したり、寝ているときに廊下から足音のようなものが聞こえたり。
「築年数が古いからかな……。」
そう自分に言い聞かせたが、どうにも気になってしまう。
ある夜、ふと目が覚めると、押し入れの方から「コトッ」と物音がした。
「……ネズミか?」
気になりつつも、疲れていた私はそのまま眠りについた。
第三章:人形の位置
翌朝、押し入れを開けてみると、驚くことが起きていた。
あの桐の箱が、押し入れの奥から手前に動いていたのだ。
「……気のせいか?」
箱の中の日本人形は、以前と変わらずそこにあった。しかし、なぜか目が合った瞬間、背筋がゾッとするような感覚に襲われた。
その日から、夜になると妙な物音が続くようになった。廊下を引きずるような音、微かな笑い声のようなもの――。
私は次第に夜が怖くなり始めた。
第四章:人形の髪
さらに数日後、恐怖は確信に変わった。
その日、仕事から帰ると、押し入れが少しだけ開いていた。中を覗くと、あの日本人形が箱から出されていたのだ。
「なんで……?」
手が震えながら人形を手に取ると、違和感に気づいた。
髪の毛が少し伸びている。
最初に見たときより、明らかに長くなっているのだ。
「気のせいだ、気のせいだ……。」
そう自分に言い聞かせながらも、恐怖に耐えられなくなった私は、人形を箱に戻し、ガムテープで厳重に封をした。そして、そのまま近くの神社に持っていくことにした。
第五章:神主の言葉
神社に人形を持ち込むと、年配の神主が不思議そうな顔をしながら受け取ってくれた。
「これは、ずいぶん古いものですね……。」
神主は人形をじっと見つめ、静かに言った。
「何か感じませんでしたか?」
私はこれまでの出来事を簡単に話した。すると神主は、少し驚いた表情を浮かべた。
「これは、人の念が宿ったものかもしれませんね。」
「人の……念?」
「長い年月を経て、人形は持ち主の思いを受けることがあるのです。」
神主は穏やかな口調でそう言い、最後にこう付け加えた。
「もう心配はいりません。ここでお祓いしておきますから。」
結末
それ以来、不思議な物音や違和感はぴたりと止んだ。
今でもあの日本人形のことを思い出すと、背筋が寒くなる。もしあのまま放置していたら、どうなっていたのだろうか――。
あの人形は、ただ「そこにあるだけ」で、不気味な存在感を放っていた。
あなたの家の押し入れにも、何かが眠ってはいないだろうか――。
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