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生死を分けた「一度きりの夢」 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ

人生には、選択の積み重ねがある。日常の小さな選択、人生を左右するような選択――。

だが、あの時の選択は「生死」を分けるものだった。

その正解を、私は一度だけ見た「夢」のおかげで選ぶことができたのだ。

第一章:奇妙な夢

それは、ごく普通の日の夜のことだった。

その日、私は仕事の疲れから早めに眠りに就いた。特に変わったこともない日だったのに、深い眠りの中で、妙に鮮明な夢を見た。

夢の中、私は暗い山道を一人で歩いていた。左右には険しい崖と森が広がり、進む道は二手に分かれていた。

右の道は細く危うげで、崖の先は真っ暗闇。左の道は広く安全そうに見えるが、森の奥からは何か気味の悪い音が聞こえていた。

その時、夢の中の「私」は不思議な直感に従って右の道を選んだ。そして、その瞬間、後ろから何かが崖下に落ちていく音が聞こえ、私は振り向いた――。

「……危なかったな。」

そう呟いて目が覚めた時、妙な胸騒ぎが残った。

第二章:現実の山道

その夢のことは、最初はすぐに忘れてしまった。ただの変な夢だと思ったからだ。

だが、数週間後、友人と山に出かけた時、私は息を飲んだ。

「ここ……夢で見た場所だ。」

目の前に広がる景色は、あの夢とまったく同じだった。左右に二手に分かれた道、右は細く不安定で、左は広くて安全そうに見える。

友人が何も疑わずに左の道へ進もうとするのを見て、私はなぜか焦った。

「待て! こっちじゃない!」

「は? なんで?」

「いいから、右に行こう!」

理由を説明する時間はなかった。直感的に「右」しかないと感じていた。友人は不満げにしながらも、私についてきた。

第三章:崩れる道

右の道を慎重に進んでいると、突然、背後から轟音が響いた。

「……えっ?」

振り返ると、友人が「左の道」を指さしながら固まっていた。

さっきまで安全そうに見えた左の道が、崩れ落ちていたのだ。

落石とともに道が途切れ、下の崖まで飲み込まれていく。もし左に進んでいたら――。

「……危なかったな。」

その言葉が、夢で呟いた自分の声と重なった。

第四章:一度きりの奇跡

その後、友人は「偶然だろ?」と笑ったが、私の中では確信に近いものがあった。

「あの夢は、この瞬間を知らせるために見たものだったんだ。」

あの時の選択が、私たちを救ったことに間違いはない。だが、それ以来、そんな夢を見ることは一度もない。

夢のお告げだったのか、何か大いなる力が働いたのか――今でも分からない。

結末

ただ一つ言えるのは、あの「夢」がなければ、今こうして生きている私はいなかっただろうということだ。

日常の中に埋もれていく選択の一つひとつが、どれほど大切なものか――。

あの時の夢は、一度きりの奇跡だったのだろう。



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