目次
プロローグ
写真立ては、思い出を閉じ込める大切なアイテムだ。リビングや寝室、オフィスなど、私たちの生活の中に自然と溶け込んでいる存在だ。
しかし、ある日を境に、その「写真立て」が、私に奇妙で不思議な出来事を運んできた――。
第一章:最初の違和感
私は一人暮らしをしている。
リビングの棚には、大切な友人たちや家族との写真を飾った写真立てが並んでいた。その中でも、特に目立つ位置に置かれているのは、2年前に亡くなった親友の写真だ。
親友の直樹とは学生時代からの付き合いで、何でも話し合える大切な存在だった。その写真立ては、彼を偲ぶためにと買ったもので、いつも部屋の中心に飾っていた。
ある日の夜、私はリビングでテレビを見ていた。その時、不意に「カタン」という音がした。
振り返ると、直樹の写真立てが倒れていた。
「地震でもあったのかな?」
そう思ったが、周りの物は何一つ動いていない。不思議に思いながらも、写真立てを元に戻し、その日は特に気にせずに過ごした。
第二章:繰り返される現象
それからというもの、直樹の写真立てが頻繁に倒れるようになった。
日中仕事から帰ると倒れていることもあれば、夜中に突然音を立てて倒れることもある。
「風のせいか?」
そう考えて窓を閉め切ったり、棚を調整したりしたが、倒れる現象は収まらなかった。他の写真立ては一切動いていないのに、なぜ直樹の写真だけが倒れるのか。
そのうち、倒れるたびに何かが心に引っかかるようになった。
第三章:タイミングの不思議
さらに奇妙だったのは、その「タイミング」だ。
直樹の写真立てが倒れる日は、なぜか私にとって「何かが起きる日」だったのだ。
例えば、仕事で大きなトラブルが起きた日や、久しぶりに別の友人から連絡が来た日など、普段とは違う出来事が必ずと言っていいほど重なっていた。
「これって、ただの偶然なのか?」
そう思い始めた頃、写真立てが倒れる前後で、直樹のことをやたらと思い出すことにも気づいた。
第四章:直樹のメッセージ
ある夜、私は写真立てをじっと見つめながら考えた。
「直樹、お前、何か伝えたいことがあるのか?」
もちろん答えは返ってこない。ただ、その夜、夢の中で直樹が現れた。
夢の中で彼は、大学時代のいつもの笑顔で言った。
「大丈夫、お前ならちゃんとやれるって。俺が見てるからさ。」
目が覚めたとき、心の中に不思議な安心感が広がっていた。そして、その日を境に、写真立てが倒れることはなくなった。
結末:写真立てが教えてくれたこと
それ以来、直樹の写真は倒れることなく、静かに棚の上に収まっている。
「直樹が見守ってくれている」――そんなことを思うようになった私は、不安や迷いを抱えたときには必ずその写真を見るようになった。
あの日々の出来事が何だったのかは分からない。ただ、あの写真立ては確かに、私に何かを伝えようとしていたのだ。
日常の中に潜む不思議な出来事。それは、思い出を超えて、今もなお私と直樹を繋げてくれているのかもしれない――。
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